リノベのお金、整理してみませんか?

「贈与でリノベ」を考える前に知っておくべきこと

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「贈与でリノベ」を考える前に知っておくべきこと

「贈与税」という言葉、ご存知でしょうか。日常生活で気にかける機会はあまりないかもしれませんが、文字通り金銭などを贈与された際にかかる税金のことです。贈与される額により10〜55%の金額が課税されますが、贈与された費用が不動産の購入の際や増改築(リノベーション)に充てられる場合、非課税となる特例が設けられています。住宅ローンなどと併用もできますので、住まいの購入に際してご両親などから資金の援助を受けることを検討している方は必読です。後々思わぬ落とし穴とならないように事前に非課税となる限度額や、特例を適用できる条件を以下で詳しく見ていきましょう。

<2018年2月11日に公開/2021年11月19日更新した記事です>

そもそも贈与税とは?

贈与税は、個人から財産をもらったときにかかる税金です。

贈与税は、一人の人が1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対してかかります。したがって、1年間にもらった財産の合計額が110万円以下なら贈与税はかかりません(この場合、贈与税の申告は不要です。)

国税庁ホームページ No.4402 贈与税がかかる場合

文中にある「基礎控除額」もポイントです。年間110万円以下であれば仮に贈与を受けたとしてもその分はもともと非課税であるというところは押さえておいてください。

通常の税率(特例の適用前)

【特例贈与財産用】(特例税率)
基礎控除後の課税価格 200万円以下 400万円以下 600万円以下 1,000万円以下 1,500万円以下 3,000万円以下 4,500万円以下 4,500万円超
税率 10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 55%
控除額 10万円 30万円 90万円 190万円 265万円 415万円  640万円

注:直系尊属(祖父母や父母など)から、子・孫など(その年の1月1日において20歳以上の者)への贈与の際に適応する「特例贈与財産」「一般贈与財産」の区別により税率は異なりますが、不動産の購入に対して直系尊属以外からの贈与を検討されるケースは少ないだろうという推測の下、「特例贈与財産」の場合を記載させていただいています。直系尊属以外からの贈与を検討される場合は、以下の国税庁のページもご覧ください。

国税庁ホームページ No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)

モデルケース 500万円をご両親から住宅購入資金として贈与される場合

もし非課税の特例が受けられなかったら…48.5万円の贈与税

贈与分 500万円 – 基礎控除額 110万円=390万円
この390万円に対して贈与税がかかってきます。

390万円×15% -控除額10万円 =48.5万円

非課税の特例が受けられたら…贈与税はかかりません

ただし次に見るように「非課税の限度額」が物件の売買契約の時期とその際の消費税の税率により異なるので注意が必要です。

非課税の限度額を整理しよう

「省エネ等住宅」及び「一般(左記以外)の住宅」の区別に関しましては、基本的にリノベーションの場合は「一般(左記以外)の住宅」に該当するとお考えいください。売買契約を結ばれる見込みのタイミングとその時の消費税の額を照らし合わせ、非課税となる限度額を割り出してください。

住宅用家屋の取得等に係る契約の締結日 省エネ等住宅 一般(左記以外)の住宅
消費税10% 消費税10%以外 消費税10% 消費税10%以外
令和2年4月1日~令和3年12月31日 1,500万円 1,000万円 1,000万円  500万円

贈与税の非課税の特例を受けるための条件を整理しよう

贈与税の非課税の特例は物件の取得(新築または取得)だけでなくリノベーションやリフォームといった増改築の際にも利用することができます。そのための条件として贈与を受ける方への条件と、取得または増改築する物件に条件が定められていますので事前に確認しておきましょう。

贈与を受ける方(受贈者)の要件

概要 原文
贈与者との関係 贈与を受けた時に贈与者の直系卑属(贈与者は受贈者の直系尊属)であること。
受贈者の年齢 贈与を受けた年の1月1日において、20歳以上であること。
受贈者の年収 贈与を受けた年の年分の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下であること。
過去の特例の利用の有無 平成21年分から平成26年分までの贈与税の申告で「住宅取得等資金の非課税」の適用を受けたことがないこと(一定の場合を除きます。)
通常の取引による入手かどうか 自己の配偶者、親族などの一定の特別の関係がある人から住宅用の家屋の取得をしたものではないこと、又はこれらの方との請負契約等により新築若しくは増改築等をしたものではないこと。
用途と期間の制限 贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築等をすること。(注) 受贈者が「住宅用の家屋」を所有する(共有持分を有する場合も含まれます。)ことにならない場合は、この特例の適用を受けることはできません。
受贈者の住所  贈与を受けた時に日本国内に住所を有していること。
実際に居住すること 贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住すること又は同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれること。

新築、中古物件の取得を贈与でまかなう際の要件

新築又は取得の場合の要件
概要 原文
広さ・用途の制限 新築又は取得した住宅用の家屋の登記簿上の床面積(マンションなどの区分所有建物の場合はその専有部分の床面積)が50㎡以上240㎡以下で、かつ、その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住の用に供されるものであること。
耐震基準の制限

  • 建築後使用されたことのない住宅用の家屋
  • 建築後使用されたことのある住宅用の家屋で、その取得の日以前20年以内(耐火建築物の場合は25年以内)に建築されたもの
  • 建築後使用されたことのある住宅用の家屋で、地震に対する安全性に係る基準に適合するものであることにつき、一定の書類により証明されたもの
  • 上記及びのいずれにも該当しない建築後使用されたことのある住宅用の家屋で、その住宅用の家屋の取得の日までに同日以後その住宅用の家屋の耐震改修を行うことにつき、一定の申請書等に基づいて都道府県知事などに申請をし、かつ、贈与を受けた翌年3月15日までにその耐震改修によりその住宅用の家屋が耐震基準に適合することとなったことにつき一定の証明書等により証明がされたもの

    EcoDeco追記:細目が多くややこしい箇所ではありますが、1981年改正の「新耐震基準」を満たしているかどうかが判断基準とお考えください。

    増改築(リノベーション・リフォーム)費用を贈与でまかなう際の要件

    増改築等の場合の要件
    概要 原文
    広さ・用途の制限 増改築等後の住宅用の家屋の登記簿上の床面積(マンションなどの区分所有建物の場合はその専有部分の床面積)が50㎡以上240㎡以下で、かつ、その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住の用に供されるものであること。
    工事内容の証明の必要 増改築等に係る工事が、自己が所有し、かつ居住している家屋に対して行われたもので、一定の工事に該当することについて、「確認済証の写し」、「検査済証の写し」又は「増改築等工事証明書」などの書類により証明されたものであること。
    工事費用の制限  増改築等に係る工事に要した費用の額が100万円以上であること。

    必要な手続き

    非課税の特例の適用を受けるためには、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、非課税の特例の適用を受ける旨を記載した贈与税の申告書に戸籍の謄本、登記事項証明書、新築や取得の契約書の写しなど一定の書類を添付して、納税地の所轄税務署に提出する必要があります。

    (注) 社会保障・税番号制度〈マイナンバー制度〉が導入されたことに伴い、個人番号を記載した各種申告書、申請書、届出書等を提出する際には、個人番号カード等の一定の本人確認書類の提示又は写しの添付が必要になります。

    国税庁ホームページ No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税

    まとめ

    いかがでしたか?新耐震基準を満たしていない物件には適用が難しいなどの制約があることから、贈与を受けることをお考えの方は物件探しの段階から考慮しておくことはもちろん、贈与してくださる方とのお話も進めておくことをおすすめします。

    こちらに記載している情報は、本ブログ執筆時時点(2021年11月19日)のものです。最新の情報や例外など詳しい情報は国税庁ホームページ もご覧ください。

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