秀和レジデンスvol.8 ー年代を見分けるポイントー

秀和レジデンスは、1964年竣工の青山レジデンスを皮切りに、2000年までに140棟以上、主に東京と、その周辺に建てられました。

そのうち、60年代に建てられたものが30棟、70年代に建てられたものが77棟、80年代に建てられたものが31棟、90年代以降に建てられたものが4棟。

一番多い時で、合計142棟もの秀和レジデンスが存在していたのです。(現在、そのうち何棟かは名前が変わってしまったり、建て替えられたりしているようです。)

今回は建てられた年代別に、秀和レジデンスの特徴を挙げてみようと思います。

 

年代ごとに見られる違い

 

1964年、初めに建てられた秀和レジデンスは、並木橋交差点から伸びる八幡坂の途中に建てられた「秀和青山レジデンス」です。

同じ年に、赤坂レジデンスと鳥居坂レジデンス、合わせて3棟の秀和が建てられました。

3棟の中で、赤坂レジデンスだけは白い塗り壁、アイアンのバルコニーがあり、もしかしたら秀和レジデンスかな?と思わせる外観ですが、他の2棟には、一般的な秀和レジデンスの特徴である、「青い瓦」「白い塗り壁」「アイアンのバルコニー」は見当たりません。

外観が変わっている秀和はいくつかあり、別の機会にじっくり観察しようと思っています。

また、90年代以降に建てられた秀和は、見た目がシンプルでスタイリッシュなものばかりですので、今回は一目で秀和レジデンスだと分かるものだけをピックアップして見て行きます。

バルコニー

60年代

 

秀和目黒レジデンス (1967)
秀和富士見町レジデンス (1969)

バルコニーが、一部屋ずつ独立しています。(その他、外苑レジデンス 洗足レジデンス 弥生町レジデンス など)

 

秀和都立大レジデンス (1968)
秀和南荻窪レジデンス (1969)

こちらは隣の部屋と繋がっているバルコニーですが、仕切り板の全面にモルタルがしっかりと塗られており、緊急時に隣へと繋がる隔て板が見当たりません。

アイアンの形は様々で、S字のものもありますが、上部のカーブが緩かったり、六本木レジデンスのように高さが変わっていたり、変則的なものが多いです。

 

70年代

 

秀和大岡山レジデンス (1972)
秀和桜ヶ丘レジデンス(1970)

バルコニーの仕切り下部に、小さな隔て板があるのが分かりますか?

この頃から、バルコニーのアイアンはしっかりとしたS字に。高さも同じに統一されてきました。

 

秀和代々木レジデンス(1976)
秀和第2行徳レジデンス(1975)

70年代の中盤ごろから、徐々に仕切りにモルタルが塗られていない、すっきりとした印象のバルコニーが増えてきます。

隔て板も大きくなり、隣へ抜けることも容易にできそうです。

 

80年代

 

秀和下丸子レジデンス(1980)
秀和第2多摩川レジデンス(1980)

さらにシンプルに、隔て板のみで仕切られたバルコニー。アイアンはS字のものだけではなく、直線的なものも増えました。

 

タイル

 

60年代

 

秀和三田綱町レジデンス(1968)
秀和参宮橋レジデンス(1968)

60年代は、茶色いタイルで作られた円と、白いタイルで作られた円の組み合わせが多く見られます。

アクセントの色のタイルも、カラフルで可愛らしいです。

 

70年代前半

 

秀和大岡山レジデンス(1972)
秀和清澄レジデンス(1973)

70年代前半に建てられた秀和のタイルに比較的多く見られるのは、大岡山レジデンスのような白いタイルと茶色のタイルを順番に貼った円の模様ですが、そこまで特別な縛りはなく、自由なスタイルで貼られているような印象です。

清澄レジデンスや、東十条レジデンス(vol.4〜ときめくタイル〜 で確認してみて下さい)のように、独自の色の組み合わせも、いくつかの秀和で見られます。

 

秀和川口青木町レジデンス(1974)
秀和第2東陽町レジデンス(1974)
秀和月島レジデンス(1977)

70年代中盤以降になると、このパターンでと決められ、貼られたであろうタイルのアプローチが増えてきます。

 

80年代

 

秀和大山レジデンス(1980)

大山レジデンスが、現存する円形の組み合わせ模様のエントランスアプローチの中で、一番新しいものなのではないかと思われます。

今までにない、落ち着いた色の組み合わせです。

 

秀和第2多摩川レジデンス(1980)
秀和綾瀬レジデンス(1983)

その後、第2多摩川レジデンスや綾瀬レジデンスのような、シンプルな茶色いタイルのエントランスアプローチが主流になりました。

 

金物(ドア、扉)

 

60年代

 

秀和南青山レジデンス(1967)
秀和祐天寺レジデンス(1969)

扉の模様がダイナミックで、とても目立ちます。

 

70年代

 

秀和番衆町レジデンス(1970)
秀和上野毛レジデンス(1975)

模様の主張が減り、少しおとなしめになっています。

 

80年代

 

秀和新川レジデンス(1981)

模様がなくなり、シンプルに。形もアーチ型だけではなく、四角いものも増えてきました。


ここからは、その年代独自の特徴を見て行きます。

60年代

 

秀和都立大レジデンス 1968
秀和新坂町レジデンス 1968

壁の上部に青い瓦ではなく、レンガが乗っています。(その他、弥生町レジデンス 目黒レジデンス など)

 

70年代

 

秀和めじろ台レジデンス(1972)
秀和清澄レジデンス(1973)
秀和亀戸天神橋レジデンス(1973)

コの字型のめじろ台レジデンス、H型の清澄レジデンス、ツインコリダー型の亀戸天神橋レジデンス。

1972年から1973年に建てられたこの3棟は、全て直線的でシンプルなフォルムで、まるで高層団地のよう。

近付くと青い瓦を乗せた塗り壁やタイル、かわいい金物などがあり、秀和レジデンスだと分かりますが、遠くから見たら秀和だとは分からないかもしれません。

 

80年代

 

秀和第2八王子レジデンス(1982)
秀和綾瀬レジデンス(1983)
秀和柏レジデンス(1985)

出窓がある秀和レジデンスは、80年代に建てられたものだけだと思います。

この時期に、出窓が流行したようです。秀和も流行を取り入れていたのですね。

 


今回は年代ごとに、分かりやすい特徴を抜き出して観察してみました。

 

秀和レジデンスは年数が経っていても管理が行き届いており、エントランスのタイルや扉、バルコニーの鉄柵などが綺麗に改修されているところも多く、それゆえに今回挙げた特徴が当てはまらない物件もたくさんあるのですが、これから秀和レジデンスを見かけたら、大体何年代に建てられたのかを、是非予想してみて下さいね!

 

 

 

 

 

 

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