ファミリー/40〜60㎡
A様のお家は、親子二世帯が同じ団地の同じ棟の3部屋を使って暮らす二世帯住宅。1棟の建物の3部屋を用途によって使い分けて暮らされているのです。1つめは親世帯が寝る部屋。2つめは子世帯が寝る部屋。3つめはみんなが集まって食事をしたり、一緒の時間を過ごすための部屋なんです。 郊外型の団地の場合、価格が安く1戸が50㎡程度なので、たまにこのような暮らし方があると聞きいていたのですが、そのリノベーションに関われるとは!団地マニアの血が騒いだのは、2014年の出会いからでした。設計を担当した岡野のブログを交えながら、団地暮らしをレポートします。
3つのお部屋を2世帯で使うという面白い住まい方をしているA様ファミリー。いったいどうしてこの団地を選んだのか、気になりますよね。最も大きな理由は、「もともとA様の奥様が育ち、今でもご実家がある団地だから」です。A様ご夫妻は共働きで、ご両親にお子様の面倒を見てもらえる環境を望んでいらっしゃいました。ただ、もちろんそれだけじゃありません。これから子育てをしていく上で大切な、学校が近くにあることやスーパーが近い事、そして豊かな敷地でのびのびと暮らせること、そして「これからも長く住める住宅である」ことでした。
この団地は「100年持たせる!」という意識をもって、しっかりと管理されてきました。その一つが耐震補強。筋交いが入れられていました。
もう一つが設備配管の取り替えです。ちゃんとメンテナンスしていればコンクリートは100年もちますが、給排水管などの設備系は30〜35年と言われています。35年経つと管の内部は多少の差はあれ劣化してしまうので、管自体の交換は必須です。余談ですが、団地や古いマンションでは排水管が床スラブを貫通して、下階の天井裏を通っていることがよくあります。漏水の際に近隣トラブルが起こりやすいので今ではスラブ上の各専有部分内で配管することになっていますが、今でもこのようなマンションは多いです。
A様がEcoDecoに最初にご相談にいらっしゃったのは2014年のことでしたが、排水管を全面更新する計画があったので、それが完了した2016年に工事がスタートすることになったのです。
もともとは「家族が集まる家」をA様のご両親が使い、亡くなったおばあさまが現在の「親世帯が寝る家」にお住まいだったそう。共働きのA様ファミリーは、買い物や子育て環境が整い、さらにお子様の面倒もご両親にみてもらいやすいこの団地の別棟を購入し、数年間暮らしてこられました。「大規模修繕が終わったら自宅をリノベしよう」と待っていたところ、タイミングよく「親世帯が寝る家」の隣の部屋が売りに出たので、急遽作戦を変更し、隣戸を購入してリノベーションをすることになったのです。
さて、A様のリノベーションは、プロの手+DIYでできています。DIYで施工したのは壁面の塗装。A様ご自身、壁を塗装することは初めてなので、職人さんが天井の塗装作業をしている様子をご覧になりつつ、やりかたを目で盗んで、初挑戦となりました。
塗装作業といっても、ただローラーでコロコロと塗料を塗るだけではありません。塗装よりも下地の処理の方が大変で、筋肉痛必至です。ボードの継ぎ目にファイバーテープを貼り、そここにパテを埋め、凸凹している箇所をヤスリでこすってフラットにする。しかもパテは乾燥するとやせるので、この作業を2〜3回繰り返します。手で触ってサラサラした状態まで仕上げられれば、やっと塗装作業となります。ここまでの作業が大変で、塗装費の半分以上がこの作業賃だと言っても過言ではないくらいなんです。ちなみに、塗装の仕上げだけをDIYするという選択肢もありますよ。
そして、塗装作業にも工程があり、1回塗ったら完成とはなりません。塗料がちゃんと接着するように、プライマーやシーラーといった下処理材を塗り、その後に下塗り/上塗りと続くのです。
▷カラーワークスのサンプル。1488色の中から選んでいく作業は、悩ましくも楽しい時間です。
▷トイレは鮮やかなブルーをセレクト。「8034M/Pacific Ocean」という名前のカラーです。
普段現場で使用する塗料は通称「にっとうこう」と言われている「日本塗料工業会」が出している色見本から色を選ぶことが多いのですが、今回の塗料はA様のこだわりもあり、「カラーワークス」の「Hip」という塗料を使用しました。事例でご紹介している「リノベーションホテルをイメージ 家を育てる自分らしい暮らし」でも、壁のDIYの際にカラーワークスが採用されているんですよ。
「日塗工」の塗料よりも少し価格が高いのですが、抗菌加工といった機能性もあり、そして微妙な色のニュアンスが選べるので、色にこだわりたい方にオススメの塗料です。
Before
After
「平日はほぼ寝るだけの家」になっているこのお部屋は、毎日寝ることと朝食を摂ること、そして3人で休日を過ごすための家です。ですから、予算の中でキッチンの設備としては最低限に抑えつつ、使い勝手や素材にこだわることができました。キッチンの面材にはもともとお持ちだったダイニングテーブルに合わせて、アメリカンチェリー材を採用。
50㎡ちょっとのスペースなので、あまり細かく仕切らずに子供部屋はリビングの一部につくりました。ハンモック用のフックに取り付けたのは、「ロープ」。子供が楽しくなる仕掛けですよね。「将来的に個室が欲しいと言われた時には、壁を作ってもいいし、家族が集まる家に個室を設けてもいいかなと思っています。」とA様の発想は柔軟です。
寝室にはゆったりとしたベッドを2台置き、家族3人分の洋服が十分収納できる大きなクローゼットを設けました。クローゼットには扉をつけずにオープンに。おかげで圧迫感が軽減されています。
両親が日中のほとんどをここで過ごし、そして夕方からは仕事や学校から帰ってきた子世帯も加わって団欒のひと時をみんなで過ごす「家族が集まる家」は、キッチンとフローリングをリノベーションしました。広いカウンターキッチンは二人で料理ができるほど。
団地の1棟に複数の住戸を所有している方は同じ団地内にもいらっしゃるとのことですが、A様のように親世帯が寝る家/子世帯が寝る家/家族が集まる家という3戸を横断する暮らしは1戸が約50㎡というコンパクトな団地ならではのスタイルですね。3つ合わせると約150㎡の面積になるので、2世帯ライフもゆったりした暮らしができそうですが、各お部屋を用途に応じてリノベーションすることで更に今の暮らしに合った家として機能させることができるのでしょう。団地のこれからの暮らし方としてスタンダードになってくるかもしれませんね。
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