秀和レジデンスvol.1 ー壁を6つのタイプに分類するー 

はじめに

こんにちは。代表の谷島です。
先日、手紙舎さんにて『いいビルの世界 東京ハンサム・イースト』刊行記念スライドトーク at 本とコーヒー
「住んでも楽しいビルとマンション〜あの伝説のヴィンテージマンション、秀和レジデンスの魅力にせまる夜」のトークイベントに参戦してきました。

そんな異常なまでのビル愛に溢れている東京ビルさんぽのメンバーのおひとりである河西葉子さんとEcoDecoの姉妹サイト「秀和レジデンスマニア」を運営する谷島で青い瓦屋根に、色とりどりのタイル床、こて塗りの白い壁に、凝った内装……秀和レジデンスについて語ってきました。河西葉子さんの素晴らしき秀和愛に触れ、ぜひ皆様にもこの感動をお伝えしたいと連載をお願いしました。あなたも、秀和マニアの仲間入りしませんか?

秀和レジデンスvol.1 〜 壁を6つのタイプに分類する〜

秀和レジデンスとは

秀和レジデンスとは

昭和32年(1957年)に小林茂が設立した秀和株式会社の手がけたマンションシリーズ。

南欧風の青い瓦屋根に白い塗り壁、鉄製柵のバルコニー。

特徴を挙げれば「ああ、見たことがある!」と思われる方も多いと思います。

 

1960年代に訪れた第一次マンションブームの頃のマンションは、大企業の重役・芸能人・文化人など、高収入の人にしか購入できない「高級な住宅」というイメージでした。

それを広さと価格を抑え、銀行ローンを使って月々の家賃程度の支払いで購入でき、かつ管理はしっかり行き届いた「身近な住宅」へと変えたのが、小林社長なのです。

 

秀和レジデンスの外壁に迫る

一度住んだらまた秀和に住み替える人も多いほど、ファンに愛される秀和レジデンス。

様々な角度からその魅力に迫ってみようと思います。

 

“同じように見えてもよく見ると…”

秀和レジデンスの外壁をじっくりと見たことがありますか?

可愛らしい外観というイメージの秀和ですが、塗り壁だけを見るととても個性的で、似ているものはあっても同じものは一つもありません。

中でも気になる壁を、タイプ別にいくつか挙げてみます。

 

タイプ1「かわいい」

かわいらしくて、思わずときめいてしまう壁。

秀和清澄レジデンス(1972)

四つ葉のクローバがいっぱい。花がたくさん咲いているようにも見えます。

 

秀和恵比寿レジデンス(1970)

まるでサボテンが走っているみたいです!

 

タイプ2「荒々しい」

タイプ1のかわいらしい壁とは対照的に、激しさを感じる壁。

 

秀和麻布永坂レジデンス(1970)

モルタルの毛羽立ちがはっきりしていて、筆で殴り書きをしたよう。

 

秀和松濤レジデンス(1970)

下地も荒々しい。上に重ねたモルタルは、手ですくってこすりつけたように二重に塗られているため、模様がくっきりと出ています。

 

タイプ3「シンプル」

模様が淡く、スッキリとした壁。

 

秀和三田綱町レジデンス(1968)

壁の模様があまり主張せず、落ち着いています。くり抜かれたひし形がアクセントに。

 

秀和第2東陽町レジデンス(1974)

コテで塗った跡が全くありません!青い瓦がなければ、秀和の壁だと気づかないかもしれません。

 

タイプ4「ぎっしり」

模様がぎゅうぎゅうに詰まっている壁。

 

秀和第2北青山レジデンス(1972)

どうしたらこんなに隙間なく模様をつけられるのでしょう?きっちりした性格の職人が塗ったのでしょうか。パズルみたいです。

 

秀和清水池レジデンス(1971)

上塗りのモルタルをダイナミックに広げていて、キリンの模様のよう。

 

タイプ5「メロン」

マスクメロンの網目のように見える壁。

 

秀和奥沢レジデンス(1970)

網目模様の真ん中がわざわざ凹ませてあり、職人のこだわりを感じます。

 

秀和第1南平台レジデンス(1969)

色が緑なら、メロンの拡大図と言われても信じてしまうかも!

 

タイプ6「鳥の群れ」

鳥が群れで羽ばたいているように見える壁。

 

秀和大岡山レジデンス(1972)

カモメが飛んでいるみたい。そう思うと地面が海に見えてくる…?

 

秀和第7行徳レジデンス(1975)

こちらは白い鳩が羽ばたいています。可愛らしい壁画のよう。

 

番外編「木の葉型」

 

秀和第2東十条レジデンス(1979)

モルタルをコテで壁にのせたあと、伸ばさずそのままにして模様がこんもりした木の葉に見える壁。

ここでしか見たことがありません。レアな壁です。

一目で「秀和レジデンス」らしさが伝わるこのシリーズですが、現場を手がけた職人の裁量に委ねられたのか、こんな風にそれぞれの個性を持っているところも魅力的なのです。

あなたが好きな秀和の壁はどのタイプでしょうか?

関連記事

秀和レジデンスvol.8 ー年代を見分けるポイントー... 秀和レジデンスは、1964年竣工の青山レジデンスを皮切りに、...
秀和レジデンスvol.2 ー屋根の色は青?ー... 秀和レジデンスの壁に迫った前回(秀和レジデンスvol.1 ー...
秀和レジデンスvol.3 ーバルコニーに注目ー... 前回は屋根( 秀和レジデンスvol.2 ー屋根の色は青?ー ...
秀和レジデンスvol.7 ー様々なこだわりー... vol.1からvol.6までは、秀和レジデンスをまとまったパ...

秀和レジデンス/秀和図鑑カテゴリの最新記事