秀和レジデンスvol.4 ーときめくタイルー

前回までは、秀和レジデンスの三つの大きな特徴、白い塗り壁 青い瓦屋根 鉄製柵のバルコニー

を観察してきました。

今回からは、さらに細かい部分へと視点を移してみましょう。

タイル貼りの床にときめく

秀和レジデンスを見かけたら、まずどこをチェックしますか?

わたしが一番初めに見る場所は、アプローチのタイルです。

古いものだと、建てられてからすでに50年以上が過ぎている秀和レジデンス。

しっかりとした管理を売りにしている秀和ですから、築年数が経っていても、様々な場所が修繕され、外観の美しさを保っています。

アプローチのタイルが新しく貼り替えられているところも、少なくありません。

そんな中、当時のままのタイル床を見つけると、嬉しくて胸が高鳴ります。

「かわいい”丸”」

秀和月島レジデンス 1977

アプローチのタイルはこの配色で!と決められた時期があったのではないでしょうか。

比較的、よく見かける配色のタイルです。

秀和第2東陽町レジデンス 1974

同じ配色のタイルですが、注目して欲しいのは階段部分の貼り方。

真上から見ると、ちゃんと円に見えるように貼ってあるのです。

こういう細かいこだわりが、秀和の見どころです。

「ビビットカラー」

秀和三田綱町レジデンス 1968

はっきりした色づかいで、印象に残る床タイルです。

秀和東荻窪レジデンス 1969

三田綱町レジデンスにそっくりです。どこが違うか分かりますか?

残念ながら亀裂が入っています。なるべくこのまま残ってくれると良いのですが…

秀和奥沢レジデンス 1968

落ち着いた茶色のタイルの周りに、はっきりくっきりな赤と青のタイル。じっと見ていると、浮き出て見えてきます。

「日焼け」

秀和大岡山レジデンス 1972

こちらもビビットな配色の、秀和大岡山レジデンス。黄色のタイルを使っているところは、あまり見かけません。

こちらは入り口近くの、日が当たらない場所のタイルです。

日が当たる場所は…

全く別の床に見えます。赤と黄色のタイルは、どうしても退色してしまうみたいです。

ひとつ、気になる青いタイルがありますね。きっと職人がうっかり間違えてしまったのでしょう。

「波」

秀和青南レジデンス 1967
秀和東中野レジデンス 1969

波の形に貼られたタイルの間に、丸と三角が挟まっているタイプ。

ゆるやかなカーブはやわらかく、女性的な印象です。

「素朴」

秀和四谷パークサイドレジデンス 1971

レンガで囲われた、花壇のよう。こちらの写真は2016年に撮ったものです。

その後、シンプルなタイルに貼り替えられてしまいました。

秀和東十条レジデンス 1974

円の中心の小さな黒色のタイルがアクセントになっています。ひまわりがたくさん咲いているみたいに見えますね。

ほんの少し黒があるだけで、とても落ち着いて見えます。

「豆タイルの階段」

秀和神宮レジデンス 1968

屋根がない場所にある階段ですが、豆タイルがきれいに残っています。木で作ったスロープが右側にあるのが見えますね。

改修せず工夫して使われていて、素晴らしいなと思いました。

床のタイルの配色は、おそらく同じ1968年に建てられた、秀和奥沢レジデンスと同じだったのではないかなと思います。

ぜひ、見比べてみて下さい。

秀和松濤レジデンス 1970

豆タイルの階段も、ビビットカラーの床タイルも、両方かわいい。

写真を撮る際に、どう撮ったら両方のかわいさが伝わるか、少し悩みました。

個人的に、秀和レジデンスシリーズの中で一番好きな床タイルです。

三田綱町、東荻窪と似ていますが、真ん中の丸いタイルが黄色いところがポイントです。

「立ち上がり」

秀和六本木レジデンス 1968

床から花壇に向かって、ゆるやかに立ち上がっています。円の間の部分が四角いモザイクタイルで埋められているタイプは、ここでしか見たことがありません。

床のタイルは残念ながら、この一部分を残して貼り替えられています。

秀和東中野レジデンス 1969

かなり急角度の立ち上がりです。花壇のブロックを、タイルで覆い隠したのでしょうか。

秀和東荻窪レジデンス 1969

アプローチと駐輪場との、境のための立ち上がり。いろんな方向から立ち上がっています。

つなぎ目をどうにかして自然に見せようと、頑張っている感じが見えますね。

写真から、青いタイルは退色すると、水色になるパターンと緑色になるパターンがあることが分かります。

貼り替えられた後も個性的

ここまで、貼り替えられる前の、オリジナルの床タイルを見てきましたが、貼り替えられた後でも、個性的でかわいい床タイルの秀和はたくさんあります。

秀和湯島レジデンス 1969

新しいタイルに貼り替えられていますが、オリジナルの円の組み合わせを再現しています。凝った組み合わせです。

秀和幡ヶ谷レジデンス 1974

すべてシンプルなタイルに変えてしまうのではなく、オリジナルと同じような円形に貼ってある部分があります。

その一手間が嬉しい。

秀和恵比寿レジデンス 1970

小さな四角いタイルで模様が作られています。花壇へ向かっての立ち上がり部分もきっちり作ってありますね。

恵比寿レジデンスは、裏手に一部、オリジナルのタイルが残っています。

秀和第2南平台レジデンス 1970

シンプルなタイルですが、色を組み合わせ、規則的に花が並んでいるような床に仕上げています。

とてもかわいい床です。

秀和レジデンスほど、個性的で華やかな床タイルのマンションはなかなか無いと思います。

こんな素敵な床を毎日見られるなんて、住んでいる方が羨ましいです。

並べ方の違いを探したり、自分の好みのタイルの色使いを考えたりすると、とても楽しいですよ!

by  yoko kawanishi  instagram.com/lilycats25
河西葉子。『いいビルの世界 東京ハンサムイースト』を共同執筆した「東京ビルさんぽ」のメンバー。古い建物、とくに秀和レジデンスをはじめとしたヴィンテージマンションが好き。サイケデリックでキュートなスイーツを制作するpsychedelic sweets spicaとしても活動中。

秀和図鑑 記事シリーズ

秀和レジデンスvol.1 〜 壁を6つのタイプに分類する〜
秀和レジデンスvol.2 〜屋根の色は青?〜
秀和レジデンスvol.3 〜バルコニーに注目〜

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