ファミリー/61〜70㎡
港区に建つ築40年超・約64㎡のヴィンテージマンション。数年賃貸で暮らしたこの部屋をご縁あって購入し、日々感じていた小さなストレスや悩みを解決するためにフルリノベーションされました。間取りは大きく変えず、視線の抜けや生活動線を緻密に再構築。結果、奥様が時間をかけて買い集めた名作家具が美しく引き立ち、お子様の小学校入学というライフステージの変化にもフィットする空間に。超都心で暮らしを「最適化」する家づくりのヒントを伺いました。

——大きなダイニングテーブルが素敵ですね。
奥様:リノベーションをしたら入れたかったジャン・プルーヴェのものです。大きすぎて圧迫感があるかなと心配でしたが、このサイズが入ることを前提に設計していただいたので、うまく収まりましたね。
ご主人:仲の良い3家族で集まってホームパーティーをよく開くのですが、大人6人・子供6人で囲んでも余裕があるのが素晴らしいですね。
お子様:(スチール製の脚がしっかりしているので)私がここで勉強やお絵描きをしてもグラグラしないところが気に入っています!

▷あえてデザインの異なるチェアを組み合わせることで、こなれ感のある上級者のミックススタイルに。大きな窓からたっぷりの自然光が差し込み、毎日の食事が楽しみになるダイニングです
——上から吊るされた照明もプルーヴェですよね。空間のトーンが美しく統一されています。
奥様:大好きなデザイナーさんの一人です。本当はリノベ完成と同時に完璧な状態でスタートしたかったのですが、納期に時間がかかり最近ようやく届きました。ただ、結果的には、生活する中でベストな位置を見つけて設置する方が良かったです。照明も当初付けたかった位置だと梁の関係で頭をぶつけそうでしたし、テレビを壁掛けにすることも、リビングにワインセラーを置くことも、設計段階ではまったく考えていなかったんです。

▷テレビボードを置かず、壁掛けにすることで足元が広くすっきりとした印象に。Marshallのスピーカーやこだわりのワインセラーなど、お気に入りのアイテムだけを厳選して並べた、大人の上質なリラックス空間です
——後から追加されたとは思えないほど、ワインセラーも綺麗に馴染んでいますね。
ご主人:壁付けテレビは背面の取り付け器具がイカついイメージがありましたが、パナソニックのウォールフィットテレビなら石膏ボードにも取り付けられると知って、『いいじゃん!』と。テレビボードをなくしたおかげでリビングにスペースが生まれました。その後、引っ越して1年くらい経ってワインセラーを購入しました。夫婦二人でも、ホームパーティーを開いた時にも、ワインはよく飲むので重宝しています。

▷キッチンに立ちながら、ダイニングや奥のワークスペースで過ごす家族の気配を感じられるシームレスな間取り。機能的でスタイリッシュなステンレス天板を採用し、日々の家事も心地よくこなせる空間です
——キッチンのインダストリアルな雰囲気も素敵です。
奥様:私の好みですね。シンプルで厨房のような雰囲気にしたいと思っていました。キッチンはデザイン面だけでなく、機能面でも変えたかった場所の一つでした。以前は奥まったL字型で、コンロに向かうとリビングに背を向ける形になり、それがどうしても寂しくて。最初は『アイランドキッチンにしたい』とリクエストしていました。
——天井から吊るされた業務用のような食器棚もユニークですね。
奥様:もともとは食器はキッチン下に収納するつもりでしたが、ビルトインのオーブンレンジを入れた関係で、キッチン下の収納スペースが足りなくなってしまって。そこでEcoDecoさんに「業務用のような天井吊りの食器棚はないですか」と相談して提案していただきました。

▷レストランの厨房にあるような業務用のステンレスの食器棚。無骨さがかっこいい!お気に入りのグラスや器を美しく並べる「見せる収納」が、毎日のキッチンワークの気分を高めてくれます
ご主人:施工会社さんも初めて取り付けるとおっしゃっていました。非常に頑丈ですが、どうやって付いているんだろうと今も不思議です(笑)。
奥様:空間のトータルバランスとして、床は玄関や脱衣所と同じPタイルを採用し、壁紙も家じゅうすべて「白」で統一しました。ポイントで色を変える提案もいただきましたが、部屋を最も広く見せる白をベースに、ドアノブなどのアイアンの黒を締め色にするイメージです。雰囲気の良い塗装にするか、メンテナンス性を考慮した壁紙にするかは迷う部分でしたが、できるだけ塗装のような雰囲気に見える壁紙を選びました。
——確かに空間の色数が抑えられているからこそ、家具や小物が引き立っていますね。
奥様:やっぱり一番広く見えるのは白ですし、家具が入れば自然とカラフルになるので、できるだけ家自体のデザインはシンプルにして、締め色に黒を使う程度にしました。クローゼットのルーバーもすべて白に塗装していただきました。

——リノベ後のキッチンの使い勝手はいかがですか?
ご主人:梁が動かせなかったり、換気扇の位置を自由に変えるのは難しかったり、リノベーションならではの制約もあって、当初こだわっていたアイランドキッチンにするのは難しかったのですが、結果的には壁付けでも良い形に収まりました。
奥様:以前は作っている人と食べている人はどうしても離れた場所にいたのですが、今はシンクに立ちながらリビングでの会話に参加できます。ダイニングテーブルからキッチンへとまっすぐにつながる視界と動線は、家の中で一番のお気に入りです。テレビを見たりピアノを弾く娘の様子が見えるのも安心ですね。

▷大きな窓からたっぷりの陽光が降り注ぐ、明るく開放的なキッチンスペース。プロの厨房を思わせる無骨でスタイリッシュなオールステンレスキッチンに、落ち着いたトーンのフロアタイルを合わせることで、デザイン性と日々のお手入れのしやすさを両立しています
——スッキリ見えますが、パントリーは設けていないのですか?
奥様:はい、ありません。主人は平日夕食を家で摂らないので、リノベを機にサイズアップした冷蔵庫(冷凍庫)の容量だけで十分まかなえています。近くにスーパーもあるので、ストックを詰め込まず「持つ量を決める」今のスタイルが合っています。
——都心の便利なエリアにお住まいだからこその利点ですね。ご主人もキッチンに立たれますか?
ご主人:週末は二人でキッチンに立つことも多いです。私は海釣りが趣味なので、釣った魚をさばいてホームパーティーで振る舞うこともあります。以前は、釣りから帰ってくると、お風呂場でクーラーボックスや釣り道具を洗って、それをベランダに移動させて乾かす作業が面倒でしたが、リノベを機にベランダに水道を延長して付けてもらったので格段に楽になりました。
奥様:ベランダ掃除も本当に手軽になったよね。家の中が明るくなり、動線がスムーズになったことで、日々感じていた小さなストレスが一気に解消されました。

▷新しく生まれ変わったダイニングでお話を伺うと、リノベーションのこだわりや完成後の暮らしの変化について、和やかに語ってくださいました。お二人のライフスタイルにぴったりと寄り添う、心地よい住まいの完成です
——賃貸で住んでいた部屋を購入してリノベするというのは、珍しいケースですよね。
奥様:ここには妊娠中に引っ越してきて、子育て環境の良さを実感していました。ただ、古い間取りゆえの使いづらさもあったのと、もともとリノベーションに興味があったので、機会があれば好きな形にしたいという思いはずっとありました。
ご主人:とはいえ、長く住む予定はなく、子どもが小学校に上がる頃に住み替える想定でした。娘が保育園の友だちと離れるのを可哀想に思い悩んでいた時、たまたま大家さんと直接やり取りする機会があり、購入へと話が進みました。
奥様:賃貸時に3回更新したので、マンションの管理体制や周辺環境の良さも十分に理解したうえで購入できたのはラッキーでした。コロナ禍により自宅で過ごす時間が増えたことで、部屋の気になる部分がより明確になった後だったことも、家づくりを考える上でよかったです。
——港区のヴィンテージマンションとなると、資産価値としては魅力的ですが、ご不安はありませんでしたか?
ご主人:実は私、完全に「新築・築浅マンション派」だったんです(笑)。築年数の経った物件に対してローンを組んでも、将来手放す時に苦労をするのではないかと中古マンションは資産価値に少し疑問がありました。
奥様:新築か築5〜10年くらいまでの「築浅派」だったよね。ヴィンテージマンションが好きな私とは意見が合いませんでした(笑)。
ご主人:でも実際に住んでみて、耐震補強工事もしっかり行われていますし、管理体制にも安心感が持てていたので、納得して進めることができました。リノベーションについては、一部分だけ新しくすると、既存部分との境目が気になりそうだったので、どうせやるなら私もフルリノベーションが良いと思っていました。結果として、排水や断熱などの機能面も含めて、自分たちの生活にフィットするものになったと感じています。

▷リビングの一角に設けたオープンなワークスペース。それぞれが別の作業をしながらも、家族の温かい気配を感じていられる、つながりを大切にした間取りです
——先ほど「古い間取りの不便さがあった」とおっしゃっていましたが、具体的にどんな点でしたか?
ご主人:壁とドアで個室が完全に分けられているせいで全体的に狭く感じられて、空間を活かしきれていないところがもったいなく感じていました。それでも、設計当時、私は自宅で仕事をすることも多かったので、「書斎」が欲しいとリクエストしていました。
——リビングと書斎を仕切るガラス戸が、すごく効いていますね!
▷細いフレームと一枚ガラスがスタイリッシュな引き戸。ガラス扉にしたことで採光が格段にUPしました
▷書斎は音楽スペースを兼ねているので、娘さんのピアノとご主人のベースが並んでいます
ご主人:電話をする時だけ閉めて、普段は開けっ放しにしています。以前は壁に遮られて暗かったリビングも、このガラス扉のおかげで光が奥まで届くようになり、すごく広く感じるようになりました。ダイニング側の窓も、以前は冷蔵庫で半分隠れていたので、部屋の明るさはかなり変わりました。
奥様:ピアノは娘が習っているのですが、主人も楽器を演奏するので、子ども部屋ではなく書斎に置いています。奥行きのない省スペースなサイズ感が、この部屋にぴったりでした。
——EcoDecoを選んでくださったのはどのような理由ですか?
奥様:Instagramや雑誌で好きな事例をピックアップしていたのですが、物件探しからワンストップで行うことを推している会社が多くて。私たちは持ち家でのリノベーションだったので、設計からでも相談できて、古いマンションも素敵にリノベーションしていらっしゃるEcoDecoさんに惹かれました。
——実際のプランニングはどう進みましたか?
ご主人:自宅であるがゆえに急ぐ必要はなかったこともあって、設計期間に8〜9か月くらいかかりました。私たちのあいまいなリクエストに根気よく付き合っていただいて感謝しています。
奥様:具体的なリクエストは「キッチンを広くしたい」「書斎と子供部屋がほしい」くらいで、他は「好きな家具を活かしたい」「生活動線を整えたい」などフワっとしたものでした。そうした私たちの意見を踏まえてご提案いただいたプランに対して「ここはこっちが良い」「これはこうしたい」とやり取りしながら、少しずつ固まっていきました。初回のご提案では、私たちでは思いつかないご提案もありましたが、最終的には既存とあまり変わらない間取りに落ち着きました。リビングの位置もそのままですし、書斎と子ども部屋が入れ替わったくらいです。
ご主人: ご提案いただいたプランに、私たちの意見をミックスしているうちにだんだん元の間取りに戻って来た部分も多かったです。
▷リビングと子ども部屋の間に設けたニッチ。ピーター・アイビーの照明がぴったりとハマっています
▷寝室の収納は天井ギリギリまで設けています。季節家電などをしまうのにちょうど良いそう
——あえて「元の形」に戻ったというのは面白いですね。
奥様:もともと生活していた形が、理にかなっていて使いやすかったんだと気づきました。それでも、キッチンの向きを逆転させることで会話が弾むようになったり、寝室や脱衣所の機能面がグッと改善したりと、暮らしやすさは大きく変わりました。
特に、洗濯に関わる動線の改善はよかったです。洗濯機と洗面台の向きを揃えたことで面が揃って空間が整理されたのと、洗濯機の前にハンガーバーを設けて、洗濯物の一時置き場にしたのがとても便利です。取り出した洗濯物をハンガーにかけながら、干す場所を検討できるんですよ。洗濯機の前でいったん整えたうえで、すぐ隣の寝室にあるハンガーバーに干したり、その先のベランダに干したり。来客がある日は浴室に干すこともあります。コンパクトなスペースながら機能的になりました。

▷洗濯物を干すためのバーを設置し、寝室をランドリールームとしても活用。浴室乾燥よりも格段に電気代が安くなったそうです
ご主人:寝室って寝る時以外は使わないので、そこにL字型のハンガーバーを設けて、エアコン・除湿機・扇風機を駆使して「ランドリールーム」のように使えるようにしたのは大正解でした。

▷お子さんの部屋は、成長に合わせてプライベートを保てるよう、扉を設けた個室にしました
——子ども部屋にはどのようなこだわりを?
奥様:リビングの横に設ける案もあったんですが、将来のことも考えて、あえて廊下を挟んで独立させました。小学2年生の今は、帰宅するとここでタブレットを操作していたり、アロマディフューザーを点けていたり、本を読んだりと自分好みに過ごしていることもあるので、独立させてよかったなと思います。遮音性も考えてこの部屋だけ引き戸ではなく扉にしています。
——アアルトのデスクやカルテルのシェルフなど、子ども部屋にも名作が並んでいますね。
奥様:私が愛用していたものを譲りました。どれも普遍的なデザインなので長く使えますよね。20年くらい使っている家具もあるので傷もあって、子どもも気にせずに使っているようです。子ども部屋で新しく買ったのはベッドくらいです。この部屋のクローゼットはあえて余白を残しています。これから入れるモノも使い方もどんどん変わると思うので、成長に合わせて棚の段数やハンガーバーの位置を調整できるようにしています。

▷娘さんは譲り受けたKartell(カルテル)の収納「Componibili(コンポニビリ)」にメイク道具を置いて、自分で身支度するそう
——ライフステージの変化のタイミングでの家づくり、大成功でしたね。
奥様: 本当にそう思います。例えば浴室も、娘が小さかったら「一緒に入るから広く!」とこだわっていたはずですが、今はコンパクトなユニットバスで十分。おもちゃも卒業するタイミングだったので、リビングがすっきり片付けやすくなりました。今振り返ると良いタイミングだったなと思います。
ご主人:タイミングといえば、マンションの耐震工事で一番騒音がひどい時期に、仮住まいに避難できるようEcoDecoさんが工期を調整してもらえたのも非常に助かりました。仮住まい先のマンションがここから近かったので、施工中も確認しに来やすかったのもよかったです。
奥様:家族全員で家づくりの過程を楽しめたのは、かけがえのない思い出です。

▷ダイニングテーブルを照らすのは、インダストリアルな雰囲気漂う黒いアームの可動式ライト

▷一日の疲れを癒やす寝室には、余計なものは置かずシンプルに。ベッドサイドには、美しい木目が魅力のシェーカーボックスを重ねて配置
リノベーションというと、壁を取り払った広いLDKというイメージが強いかもしれませんが、「区切る」ことで、快適さや利便性につながる場合もあることがよくわかるK様のお住まいでした。さりげなく置かれた数多くの名作家具を引き立たせるため、家自体の色数や要素を絞るという発想は、家具や雑貨がお好きな方が家づくりをする際にも参考になりそうです。
不動産探しから施工まで、リノベーションに関するあらゆるご相談に、幅広くお答えします。リノベーションコーディネーターが無料個別相談会を行っていますので、お気軽にご予約下さい。まずは、じっくりとお話ししてみませんか。
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