大人のリノベーション(40歳以上)

一度は都心に住みたい 南青山リノベーション

二人暮らし/71〜80㎡

「一度は都心に住みたい」という想いを南青山で実現させたK様ご夫妻。インテリアデザインに関わるお仕事をされているK様が思い描いた住まいは、ご友人から「生活感がない」と言われるくらいとてもすっきりとしたもの。でもそんな見た目とは裏腹に、タイルの割り付けやキッチン、ドアノブなど毎日何気なく目にする細かな部分にこそ、実はかなりこだわってリノベーションされました。その小さなこだわり達が、ご夫妻の心地よい暮らしを支えているようです。

Profile
  • K様@南青山
  • ご夫婦/76.29㎡/2015年7月竣工
物件探しからはじまるリノベーション

当初、リノベーション会社は3社程検討していたのですが、エコデコの担当者の方は、全然プレゼンという感じではなくて、まずはじっくりと私達の話を聞いてくれて、要望と予算から適切な物件の選び方を教えてくださったんです。話をしていても、用意した話をしている感じはなくて、ニーズをしっかり聞き取ってくれている感じがして、ちゃんとコミュニケーションができているという安心感がありましたね。

— Before After 平面図

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より明確になったリノベーションへの想い

K様がお引越しを考えられたのはどうしてですか?

K様:以前は、世田谷に新築マンションを購入して6年くらい住んでいました。元々は3LDKだったのですが壁を取り払い、ほぼワンルームの形に間取りを変更して、結構気に入っていました。世田谷でしたが最寄り駅周辺もなんとなく下町っぽい雰囲気で、隣が畑だったり、砧公園や馬事公苑のような緑も周りにたくさんあって、住みやすい街でした。

ただ、以前から「一度は都心に住みたい」という気持ちもありまして、都心に住むなら年齢的にも「そろそろいいかな・・・」と、引っ越しを考えるようになりました。場所は、青山と代官山、恵比寿あたりという感じで。以前勤めていた会社が南青山にあったので、なんとなく土地勘もあって、南青山の賃貸マンションに移って、半年ほど物件を探していました。

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▶︎約4.8mという大きなキッチン。納まりが美しい。

ーどのような物件を探しておられたのですか?

K様:青山、代官山、恵比寿あたりでリノベーション向きの古めの物件を探していました。前の家で間取り変更やちょっとした改修はしたのですが、フローリングの素材感やクロス仕上げなど新築時の仕様が最後まであまり好きになれなかったので、「次はゼロからリノベーションをして、自分の好きな素材やモノに囲まれたい」という気持ちがありました。すべてリノベーションすることを前提に、物件価格が抑えられてリノベーションに予算が割ける古めの物件を探していました。

ーエコデコを選ばれた理由は何ですか?前のお住まいの売却もエコデコにお願いされていたそうですね。

K様:エコデコさんにお願いしたのは、担当の方と話した感じで決めました。当初、リノベーション会社は3社程検討していたのですが、別の会社は話やプレゼン内容がいかにも決まった流れに沿った説明で、お客様のニーズに合わせて、と言いながら、「施工費はパッケージで坪いくら」とか「設計費はサービスして○%で」といった感じの売り込みで・・・(笑)。私自身も設計の仕事に携わっているので、良い素材や希望のものを使えば価格は高くなるということはわかっていますし、設計費をサービスって、手も抜くのかな、と(笑)。

すごくデリケートな買い物なので、フィーリングや、その会社の雰囲気が自分に合うか合わないかは大切にしていました。エコデコの担当者の方は、全然プレゼンという感じではなくて、まずはじっくりと私達の話を聞いてくれて、要望と予算から「そのエリアのリノベーション向き物件を狙うのであれば、旧耐震*の物件もありかもしれませんね」とおっしゃって、ご自身の経験を踏まえながら、旧耐震の物件の説明をしてくださいました。話をしていても、用意した話をしている感じはなくて、ニーズをしっかり聞き取ってくれている感じがして、ちゃんとコミュニケーションができているという安心感がありましたね。

物件探しや設計から工事の段階で、大なり小なりトラブルは起こると思うんです。そしてその時には、お客対会社ではなく、結局はお客対担当者のやり取りになるので、その担当者の方に信頼が持てたということは大きかったと思います。

※旧耐震・・・19815月以前に建築確認を受けた建築物に適用されていた耐震基準。

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▶︎設計を担当した岡野と施主のK様ご夫妻。

コンセプトありきの物件探し

ー物件探しはどのように進められたのですか?

K様:暮らし方のイメージは持っていたので、物件が出た段階で、図面を見ながら間取りを考え、それがはまりそうなら内見の手配をしてもらい、そうでない場合は見送る、そんな感じで進めていました。

以前住んでいたところも部屋の壁を取り払い、オープンな感じにしていましたが、今回も空間のつながりや相手の気配がなんとなく伝わる感じにはしたかったので、イメージしている間取りができるかどうかはかなり重要な判断基準だったかと思います。実際、立地や間取り、条件がかなり良くても「この壁が取れないので余計な部屋が一つできてしまいますね・・・」と言われて、後ろ髪をひかれて見送った物件もありますしね(笑)。

今の物件は、間取り的にはちょっと変形だったのですが、壁を取り払ってワンルームとして使えるようにするなど間取りは希望通りに変えられそうだったこと、何より目の前に建物が迫っていなくて、見通しがよく、眺望の抜け感があったことが決め手になりました。光と空気の抜け感があり、かつ私たちの予算が見合う物件というと、なかなか見つからなかったのですが、この物件はそのバランスがちょうどいい感じだったので、すぐに申し込みをしました。

ーあっという間の申し込みだったと聞いています。

K様:折を見ては、私もネットで物件探しをしていたのですが、この物件がネット上にアップされた日に発見して、すぐに担当者の方に内見のお願いをしました。内見の3日前に間取りが載っている販売図面をいただき、内見までにリノベーションのプランはだいたい考えていました。実際に内見して、プラン通りにリノベーションできそうだとわかったので、その場で即購入を決めました(笑)

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▶︎玄関から見た空間の様子。

よりシンプルな家を目指して

ーご自身も設計のお仕事をされていますが、自分で設計をやろうとは思われなかったのですか?

K様:いえ、時間をかけて集中して取り組まないと、とてもじゃないですができることではありませんから、それは最初から考えていませんでした。ただ、おおまかなコンセプトやクリエイティブのイメージはお伝えし、担当の方にいくつかのオプションを提案いただいて、共同作業というか、キャッチボールをするような感じで設計を進めていただきました。

最初に多くのイメージ写真などをお渡ししてお互いにニュアンスまで理解していたので、ブレなく進めることができたと思います。設計後半の「ヒンジをどう収めるか」「タイルをどうするか」といった細かい部分については担当の方に詳細図まできっちり描いていただいたものに、ミリ単位で注文をつけるような感じだったので、実際は大変だったと思います(笑)こちらの感覚や意図をきちんと汲み取ってくださる方だったので、とてもやりやすかったです。

特にタイルの割付なんかは、かなり大変だったと思います。ガラスを収める金物の位置を考えつつ、タイルがきれいに納まるように、0.5ミリ単位でいろいろ調整していただきました。工務店さんも職人さんも、よくあの細かな注文に最後までついてきてくださったなと思います。本当にすごいです。

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▶︎話の中に出てきていますが、バスルームのガラスの納まりの調整は、まさにミリ単位でした。

ーよい工務店さんを選ばれたのですね。

K様:工務店さんはいくつかご紹介いただいた中から、エコデコの担当の方がオススメのところにお願いしました。契約後の現地確認からご一緒しましたが、最初から引渡しまで、安心してお任せすることができました。最後の最後までついてきてくださって本当に感謝しています。エコデコの担当の方や工務店さんとっては、さぞかし面倒な客だったのではと思いますが、おかげ様で毎日生活していても気になるところが全くありません。

 

K様、エコデコ担当者、工務店のそれぞれが妥協をせずに進めた共同プロジェクトのようですね。

K様:おっしゃる通りです。でも、エコデコの担当の方と膝を付き合わせて打ち合わせをしたのは4回だけで、あとはメールで図面やスケッチをやり取りして、の繰り返しがほとんどでした。電話で話すこともあまりなかったですね(笑)打ち合わせ回数が4回というのはとても少ないそうです。普通は8回くらい行うそうで、担当者の方が打ち合わせ回数の少なさに驚いておられました。でも、それができたのは、担当の方と設計のゴールを早い段階からきちんと共有でき、コミュニケーションがしっかりとれていたからだと思います。

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▶︎ウォークインクローゼットの中も整理整頓していらっしゃる様子はさすが!の一言に尽きる。収納家具はIKEA。

ーそんな妥協なきプロジェクトの成果でもあるこの家は、意外にシンプルな感じですね。

K様:以前の住まいは新築時の仕様でちょっとリュクスというか、品の良いカッチリとした感じだったのですが、もっと素材感とヌケのある、引き算のデザインがいいな、と。この家のイメージは、服で言えば洗練されたシンプルさが感じられるノームコア*な雰囲気で、でも実は細部まで考えられたデザインというところが気に入っています。例えば、コンセントの位置もどこに何を置くかを決め、いろいろ計算をした上で設計していただいているので、家電コードの配線もすっきりしています。シンプルな暮らしをしたいと思っているので、配線のごちゃごちゃした感じがなく暮らせているのは、とても気持ちがいいですね。

※ノームコア・・・究極の普通。

ー見えないところにこだわりが仕込まれているのですね。

K様:さりげなく仕込んでいますよ(笑)。例えば朝、太陽の光がベッドルームには入らないけれど、リビングには入ってくるような空間の切り方を意識しましたし、ベッドの両脇のペンダントライトの高さはベッドボードと同じ高さに揃うようにしました。キッチンや洗面台下の棚板の取り付け方なども、すっきりとなるようにお願いして、皆さんに考えていただきました。給湯器のリモコンは日本語が並んだものではなく、使う際に文字が浮かび上がってくるシンプルなものにしましたし、コンロ、水栓、レンジフードなどのアイテムもそれぞれ数種類候補のリストを作っていただいて、いろいろ吟味しました。

一旦は予算の関係でトイレの機器をグレードダウンしようとしたのですが、「リモコンがスタイリッシュじゃないので、妥協すると後で後悔するから」と妻に言われてグレードを戻したこともありましたね(笑)・・・。シンプルな家ですが、毎日目にするそういう細かい部分にこだわったことで、気持ちよく暮らせているように感じています。

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▶︎大量の本が納まる本棚も、IKEAを活用。

南青山を楽しむ大人の暮らし

ー元々2LDKだった家をワンルームにされましたが、使い勝手はいかがですか?

K様:扉がなくても、不便なことは全くないですね。元々、部屋が分かれている感じがあまり好きではなく、仕切りのない、なんとなくお互いの気配や空間のつながり感に居心地のよさを感じる方なので。

それに、仕事中心の生活なので、家でゆっくり過ごすのは週末くらいですし、来客も友人がちょっと遊びに来る程度なので、プライベートな閉ざされた空間の必要性をあまり感じていないです。唯一、お風呂スペースがベッドの横なので、妻が寝た後に私が帰宅して、シャワーを浴びたりすると気になるかなと少し心配していましたが、実際に住んでみればそんなこともないようです。

ーお風呂の壁がガラス張りですが、手入れなど大変ではありませんか?

K様:思っていたほど大変ではありません。積極的にはオススメしませんが(笑)。シャワーの後にタオルで拭いて、バスタブの奥は水を流すくらいで十分です。水アカがついてしまうので毎日の手入れは必須ですが、その程度です。それよりも、このガラス壁のおかげでお風呂空間に広がりができましたし、お風呂に入ると、お風呂前に設置した本棚が見えるので、それがとても気に入っています。バスタブに浸かって好きな本を眺めながら頭の中を整理したりするのは、本当に気持ちが良いですね。

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▶︎ベッドルームから見たバスルームの様子。ガラス張りだが、必要なときにはロールスクリーンを下ろす事で視線を遮る事ができる。

ー築38年経つマンションですが、管理状況はいかがですか?

K様:管理人さんがとてもよい方で、共有スペースやゴミ置き場はいつもきれいに保たれています。管理人さんが管理室にいらっしゃらない時には、たいていどこかをお掃除されていますね。築年数が経っていますが、管理がしっかりしているので、マンション自体にも不便を全く感じません。強いていえば、エレベーターが遅いことくらいかな(笑)。

ー会社まで一駅だそうですが、通勤も楽になったのでは?

K様:最寄り駅まで歩いていき、電車で一駅なので、以前住んでいた世田谷からの通勤と比べると、かなり楽になりました。マンションが広尾、表参道、恵比寿それぞれの駅からほぼ同じくらいの位置にあるのですが、それぞれの駅からはちょっと距離があります。でもそれを「駅から遠い」と捉えるか、落ち着いた環境に住んでいながらちょっと歩けば「便利」と捉えるかだと思います。仕事中心の生活を送っている私達にとって、このロケーションは本当に便利ですね。

今の暮らしで不便な点をあえていえば、安いスーパーが近くに無いことですね(笑)。料理自体、週末にする程度なので、私達のライフスタイル上はそんなに優先度は高くないので、それほど困っている訳ではありません。その代わり、近くにはおいしいレストランがたくさんあるので、それはトレードオフだなと思っています。

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▶︎K様がお住まいの南青山にはヴィンテージマンションが多く建てられ、落ち着いた雰囲気の街並形成に一役買っている。

ー駅から少し遠いけど超都心というこの街で、扉のない空間、ガラス張りのお風呂というこの家で、K様が居心地よく暮らしておられる様子が伺えます。

K様:「一度都心に住んでみたい」という想いをこういう形で実現できて、とても満足しています。リノベーションをして本当に良かったと思います。まだベースの箱をつくっていただいた状態ですので、これからの生活に合わせて少しづつモノを増やしたり減らしたり、ゆっくりと変えていこうと思っています。壁面も壁が照らされているだけで、まだ何も飾っていないですからね(笑)

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▶︎リビングの一角には、ワークスペースがある。

ー本日はありがとうございました。

 

↓ K様邸@南青山の画像をまとめてご覧になりたい方はこちらから(Pinterestのサイトへ移動します。)

設計者 岡野より

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K様邸のリノベーションプロジェクトは物件探しから担当させていただいたので設計が始まった時には、基本部分は既に共有できている状況でした。そして、設計直前にK様と共有させていただいたイメージ画像は100枚を超え、それらに抽象的なキーワードが加わることで輪郭の無いある一定の完成像が早い段階で自分の中に生まれていました。
そのようなベースがあったからこそ、素材や仕上げに関してK様と抽象的な表現でやりとりすることができ、また、数少ない打合せでも設計を進める事ができたんだと思います。
K様と打合せで会う回数は少なかったですが、設計期間は約4ヶ月と平均的な期間を要しており、工事終盤に現場監督から言われた、「この物件はペペロンチーノみたいだ。シンプルだけど腕を試されている感じがする」という言葉が示す通り、妥協のない細部への拘りが詰まったプロジェクトでした。

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