住居者構成 : 一人暮らし

面積 : 40〜60㎡

趣味を楽しむ暮らし

南青山のペントハウスリノベ 骨董に囲まれて暮らす

骨董と聞いて思い浮かべる、ちょっと重厚で難しそうな世界。そんなステレオタイプなイメージをがらりと変える、伸びやかな開放感と広がりを感じるのがK様邸です。モノが持つ美しさや歴史を大切にされるK様は、家に対しても「既存利用」という言葉には収まりきらない、物件そのものの魅力を最大限に活かしたリノベーションをされていました。

Profile
K様邸@南青山
30代男性/58.91㎡/リノベーション費約1,030万円(設計費含)/2016年9月竣工

BEFORE→AFTERの平面図はこちらでご覧頂けます。

この家に決めた理由とは?

中古マンションを購入された理由は何だったのでしょう?

インタビュー

K様:何ごともピカピカの新品にはあまり惹かれないので、マンションを購入する際も、最初から中古でと決めていました。当初は神楽坂エリアで探していたのですが、ほとんど変わらない予算で青山エリアのマンションを購入できると知り、馴染みのあるこの辺りで探すことにしました。客観的に見ても、この周辺なら中古マンションであろうと地価も高いですしね。

そうですね。この辺りでしたら、中古物件の築年数で地価が大きく左右されることはありません。

K様:ここは、物件を探し始めたばかりの頃に訪れた内覧会で出会いました。天窓があって、部屋の一面全てがテラスに面した窓という開放感に一目惚れして、その場で即決!物件探しを始めて2ヶ月で出会いました。翌日には別の申込みがあったようですから、思い切った決断をしなければ購入できなかった物件でしたね。

全ての部屋に光が差し込む、明るく心地よい空間

天窓

K様:実は、この部屋を見る前に下層階の部屋も内見したんです。平米数ではそちらのほうが広かったんですが、こちらのほうが断然開放感があって、感覚的には広く感じられましたね。それもあって「ここがいい!」という気持ちが強まりました。しかもこの部屋のほうが安かったんです。

物件の広さには、共有スペースであるテラスは含まれませんからね。内見をすると平米数や間取り図だけでは分からない部分に気付くことは多いです。

K様:もともとは洋室・リビングダイニング・寝室が、それぞれ独立して並ぶ2LDKの間取りでした。それを書斎・リビングダイニング・寝室の3部屋に全ての窓からの光を感じられるよう、ひと続きにしていただきました。各出入り口には、水廻りも含め引き込み戸が取り付けてあるので、独立した空間にすることも可能なんですよ。寝室は、キッチン側に出入り口を設ければ、よりプライベートな空間にもできたのですが、連続したひと続きの部屋に見せかったので、テラス側に設けることにしました。出入り口の場所は物を置く場所との絡みもあるので、けっこう悩んだ部分でしたが、テラス側に設けたことで、寝室からの光も自然とダイニングにも入ってきて抜け感が出たので、結果的にはよかったですね。

平面図

骨董を引き立てるのに大切なのは「背景」

リビングの骨董

骨董がご趣味だと伺っていたので、モノで溢れていらっしゃるのかと思っていましたが、すっきりとした印象を受けます。どんなところに気を配られたんですか?

K様:よく見ていただくとお気づきになるかと思うのですが、家具や骨董を取り払うと、壁にはほとんど何もありませんし、部屋自体は非常にシンプルな造りです。骨董を飾る際に大切なのは、“背景”となる壁なので、抑制したデザインにすることを心がけました。特に、リビングの壁は骨董を飾るメインスペースとなるので、どうしても大きな一面を作りたかったんです。ところが、元々の洗面室は、このリビングの壁に出入り口があって、背景としての大きな面ではなかったんです。それで、洗面と浴室の場所を入れ替えて、洗面室の出入り口は玄関側に設けていただきました。シンプルにするために他にもいくつか工夫があるんですよ。ひとつがブラインドの操作コードです。天窓のブラインドは既存利用しているのですが、開閉する際の操作コードが、天窓から手元の高さまでだらりと垂れていました。それが気になったので、コードを短く加工してもらって、操作棒を使って操作することにしました。ですが、実際に住んでみると、天窓のブラインドはほぼ閉めっぱなしです。テラス側の窓からもたっぷりと光が差し込むので、天窓からの光を遮らないとちょっとまぶしすぎるくらいで(笑)。

たしかに(笑)!テラス側の窓だけで、気持ちのいい光がさんさんと差し込んできますね。

リビングダイニングキッチン

▷頭を悩ませたというダイニングキッチンのエアコン。天井付けのビルトインエアコンを選んだことで、すっきり。

K様:そうなんです。もうひとつ頭を悩ませたのがエアコンでした。部分的に天井が低い部屋の構造上、取り付けできる場所も低くなってしまい、どこに設置しても存在感が出ざるを得ない。これは、岡野さん(設計担当スタッフ)が提案してくださった、ビルトインタイプのエアコンにすることで解消しました。水廻りの移動とエアコンは、我が家のリノベーションで最もコストがかかった部分ですね。でも、どうしてもゆずれないポイントだったのでそこは妥協しませんでした。

大切にされたい部分が明確だからこそ、どこを削って、どこにお金をかけるかが判断しやすかったんですね。

制約があるほうが、かえって自由があっておもしろい

ダイニング

リノベーションを行うにあたり、ひとつひとつに明確なこだわりがあったのですか?

K様:いえ、細かいリクエストはあまりありませんでした。ユニークな構造の部屋なので、自然とあきらめなくてはならないことも多いんです。ですから、私のほうが物件の個性に合わせるという感じでした。壁の一面が全て窓であることや、天井も壁も凹凸が多いことは、人によってはマイナスポイントに感じるかもしれません。でも、この部屋の開放感と広がりは、私には大きな魅力でした。それに、制約のあるほうがおもしろいと思うんです。かえって自由があるというか…。骨董の世界でも、説明可能なコレクションはどこか“食い足りない”ような、面白みがなく感じてしまうんですよね。制限のある中で、リノベーションを通して、物件の持っている魅力を引出していくことが楽しかったです。

EcoDecoの設計スタッフとはどのようにイメージを共有していったのですか?

K様:岡野さんはいつも丁寧にヒアリングしてくださいましたね。たくさん会話もしましたし、私の好きな骨董や美術品、「いいな」と思う古い建築写真や、雑誌の実例もいろいろと見ていただきました。おかげで、自分では意識しているようで見落としている部分に気付いてくださったり、もやもやしていたイメージをデザインに起こして提案してくださったりしたので助かりました。

たとえばどのような部分でしょうか。

K様:「色々な材質を組み合わせたい」というのが当初からの希望だったのですが、そのため、異なった素材を隣り合わせて不自然で無くすることが課題でした。リビングダイニングとキッチンの境目に配した真鍮のラインは、岡野さんのアイデアです。リビングダイニングのフローリングは既存利用をしたので、長い年月をかけて培われた、この部屋の歴史が刻まれています。そんなフローリングの持つ雰囲気に、無理に合わせようとして、キッチンも“アンティーク風”となるよう意図してしまうとかえって馴染まないと思いました。そこで、いっそのこと、真逆の質感を持つステンレスのシステムキッチンを入れ、床にはグレーのタイルを敷くことにしました。フローリングとタイル。フローリングとステンレス。これらの異素材をさりげなくつなぐ存在として、岡野さんが真鍮のラインを配することを提案してくださったんです。これはすごく気に入っている部分です。

キッチン床

ステンレスのキッチンやむき出しの梁は、一見骨董とは合わないように思える世界観なのに、自然と馴染んで見えるのにはそうした工夫があったんですね。

K様:フローリングと梁は、素材としての強さに惹かれて、迷いなく残した部分です。岡野さんともそこに関しては最初から同じ意見でした。

異なる時代、素材のモノに統一感を持たせる工夫

リビングダイニング

インテリアも骨董も時代や素材がバラバラです。なのにまとまりがあるのは、他にも何か工夫があるのでしょうか?

K様:ダイニングに置いているのはイームズのオリジナルチェアなのですが、ファブリックがどこかあいまいないい色をしていますよね。そのうえアームのアルミニウムの素材感が際立っています。素材のちがいにコントラストを求めながらも、全体のトーンを抑制したことが、無理なく馴染んだ理由なんじゃないかと思います。収集している骨董においてもいえることですが、時代や歴史的価値からいったん切り離して造形や質感に注目することで、新しい魅力に気づくことがありますね。でも、一貫したまとまりがあるように感じていただけたのは私もとても嬉しいです。世界中から情報を集めやすくなった現代だからこそ可能となるインテリアの選択も、骨董の蒐集もあるはずだと考えています。

リノベーションがきっかけで趣味にも新たな楽しみが

リビング

この部屋に暮らすようになって生活に変化はありましたか。

K様:生活の中で使うモノにも興味が芽生えてきましたね。ダイニングテーブルはこの物件を購入してから買ったものです。スペインのアンティークなのですが、部屋が完成する前に買ってしまったので、どんな雰囲気になるか少し心配でしたが、大きさもちょうどよく、いい感じに収まってホッとしています(笑)。椅子は世界中から1脚ずつ買い集めました。以前住んでいた家では、ちゃぶ台を使っていたんですが、今はこのリビングの椅子に座って、ぼーっとしている時間がお気に入りです。お茶やコーヒーを淹れる器は、若手の作家さんの作品を使ったりもしています。同世代の方々がどういう思いで作品作りをしているのかを、実際に使って感じるのはおもしろいですね。これまでは鑑賞美術がメインでしたが、ここに越してから、そうしたモノを使うという楽しみ方もするようになりました。家が教えてくれることがあるんだなと日々感じています。

素敵ですね。そういうお話を伺うとうれしくなります。

K様:ダイニングテーブルもそうですが、私はものごとを進めながら考えたり決めたりするところがあって、リノベーションに際しても、施工中に決めたり変えたことがけっこうあります(笑)。洗面ボウルもそうですね。当初は丸いタイプを希望していたのですが、これ!というデザインになかなか出会わず、結局工事途中に四角いグローエのものに決めました。そうした突発的なリクエストにも、EcoDecoさんは臨機応変に対応してくださり感謝しています。

私たちとは物件購入後、リノベーションからのお付き合いですよね。

K様:ええ。私の場合、内覧会の後、すぐに物件を購入したので、そこからのリノベーション会社探しとなってしまい、少し慌てていました。ですから「こういう物件でこうこうで」と概要をまとめて、複数の会社に一斉に打診メールを送ったんです。その時に一番最初にレスポンスをくださったのがEcoDecoさんでした。それがご縁のきっかけでしたね。

最初にメールでお問い合わせしてくださる方は多いです。K様とはメールでやりとりした後、すぐに物件調査しましたね。
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ところで、もうひとつのこだわりだった「書斎」はどういったイメージだったのでしょうか?

エントランス

▷室内側から見た、エントランスホール。

“洗濯機"

▷洗面室にある洗濯機は、造作に丸ごと埋め込むように設置した。

K様:間取りから考えて書斎はこの部屋になると思っていたのですが、玄関から書棚が丸見えになることに少し抵抗がありました。とはいえ、玄関扉を開けてすぐ目の前が壁ですと、せっかく光がたくさん入る部屋の魅力を活かせないのがネックで……。悩んだ末、もともと持っていた書棚の高さに揃えて、壁の一部にスリットのような穴を開けることをひらめき、玄関にも光を採り入れられるようになりました。書棚の上を利用して、小さな展示スペースも作ることもできたので一石二鳥ですね。今日はお気に入りの唐三彩の丸壷を飾っています。

“スリット窓"

スリットを通して入る光のおかげで、玄関にも明るい雰囲気がありますし、こういう愛らしいモノが飾られていると、お邪魔した瞬間にふっと心が和みますね。

K様:これ、可愛いですよね。この玄関スペースだけでなく、部屋に飾るものは、季節によって変えたり、美術館に行った後にはそれにまつわるものを飾ったりして楽しんでいます。そうすると自然と登場回数が少なくなるものや、ずっと出していたくなるものが出てくるんです。むやみに出したりはせず、こまめに入れ替えること自体を楽しんでいるかもしれません。

壁一面に書棚がある書斎は漆喰壁でより落ち着きのある空間に

“書斎"

壁一面の書棚は本好きなら誰もが憧れる理想の書棚ですね。

K様:書斎は他の部屋と少しムードを変えることも意識していたので、壁を漆喰にし、天井に木材を貼ったのもポイントです。書棚の棚板もTV上の棚板とは違って鉄の素地にしているんですよ。

なるほど。TVの上の棚は白なんですね。

K様:はい。テレビを置いたリビングダイニングの棚は、なるべく背景として溶け込むよう、壁と同色の白にしました。テレビの上にも、書斎と同じ素地を選んでいたら、悪目立ちしていたと思います。実は、テレビの設置場所にも悩みましたね。間取りが縦長なので設置できる部分が限られていて…。最終的にここに落ち着いたんですが、ひとつ問題があって、テレビをオープンな状態で置くと、廊下から入った時に、テレビ後ろの配線コードが目についてしまうんです。その対策としてテレビ背面のコードや電源の目隠しとして袖壁を作っていただきました。

なるほど細かな部分にもすっきりと見える工夫や気遣いがたくさん隠れているんですね。

作りながら、住みながら、日々変化していく

“キッチン"

購入されたモノを譲ったり売ったりされることはあるんですか?

K様:しないですね。ですから増えていく一方です(笑)。モノを選ぶ1回1回の選択が、時間をかけて量を成して、その人の個性をその人自身に教えてくれるんだと思います。きっと家も同じですよね。誰かが20年間住んでいた家が持つ説得力というのはやっぱりすごい。私は半年という短期間に、無我夢中で物件購入とリノベーションを行い、昨秋引っ越してきたばかりです。これから少しずつ手を加えて馴染ませながら、自分の好みも偏りも見出せていかれればと楽しみにしています。

“リビング"

まとめ

「この部屋は、骨董品を収納する、ひとつの大きな箱のようなものかもしれません」と話してくださったK様。まだ何も入っていない収納スペースや、掛け軸を飾れるようにと打ちつけただけの釘など、いくつもの余白も残されていた部屋は、日々時間をかけてK様らしい空間が作られていくことを予感させてくれるようでした。本日はありがとうございました。

— Before After 平面図

“Ktei_zumen"

設計者コメント

okano270

K様邸のリノベーションでは、生活の場としての骨組みができた後はコレクションの展示場所や展示方法、書籍の収納をどうするかといった話が打合せの中心になり計画が決まっていきましたが、骨董品に限らず生活する上で必要な身の回りの物をきちんと計画することで、場に秩序が生まれ、物を飾る上で重要な心地よい余白ができあがるのだと思います。 前所有者から受け継いだフローリングや存在感のある梁、そして大切に集めてこられた骨董品など、様々な物によって織り成された空間がK様の世界観を現す住処となれば幸いです。

MEDIA

大人のPLUS1 LIVING(主婦の友社) VOL.100
「わたしが幸せになれる部屋」 に掲載されました。

K様邸ができるまで

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