二人暮らし/61〜70㎡
ー そもそもリノベーションを選んだ理由は何だったのでしょう?
ご主人:私も妻も関西出身で、結婚して10年間ずっと賃貸でしたし、いつか関西に戻る可能性もあることを思うと、東京で家を買うこと自体を迷っていました。仮に買うとしても、一軒家かマンションか、新築か中古か、通勤に便利な都心か趣味を楽しむ郊外か、そこも絞りきれずにいました。
奥様:私は何ごとも事前に調べるタイプでして。夫婦の間で家の話が出た頃から、住宅にまつわるサイトをたくさん見ていて、EcoDecoのサイトを見つけました。特に興味を持ったのが岡野さんのブログでした。「こういうところは壊せる」「お風呂は移動できるのか」と、具体的なテーマを理由も明確にしながら書いてあったのがわかりやすくて好感を持ちましたね。事例紹介を見て「いいな」と思う物件が一番多かったのもEcoDecoさんだったので、まずは夫婦で岡野さんが講師のセミナーに参加しました。
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岡野主宰のリノベーションセミナー。現在は動画でいつでも、思い立ったときに学べるスタイルになっています。知りたい部分たけを学べるよう、飛ばし見もできる作りになっています。
ご主人:セミナーに参加したことは「リノベーションという選択肢もいいかもしれない」と思うきっかけになりました。後から売ったり貸したりできることや、中古マンションなら購入時と売却時の価格差が出づらいので金銭面のリスクが低いことを知り、心配していた部分もクリアになったので本格的に物件購入を考え始めました。この物件を見つけた時も、利便性の高い場所で駅近なので、もし賃貸や売却となったとしても安心かなと 思いました。
ー この辺りはたしかに都心で働く方に人気のエリアですよね。他はどういう部分が気に入ったのですか?
ご主人:一言でいうとトータルバランスです。二人の通勤時間が30分圏内を条件に探して出会った物件ですが、建物の管理体制もよくて。滞納金が少ないなど財務面も安心でしたし、共用スペースにもゴミが落ちていなくて清潔で、好印象でした。豊洲駅ができる以前から住んでいる方も多いので、どこか懐かしい感じがして、治安もいいので、私たちに合いそうだなと思いました。
奥様:住んでいる人を知ったうえで入居できるのは、新築にはないメリットですよね。ここは、新耐震の基準を満たしていたのも大きなポイントでした。
ご主人:新築マンションにも何度か見学に行きましたが、予算内だと仕事場からも遠く、自分たちで決められるのも床材など限られていました。二人とも外観や共用スペースがぴかぴかで新しいことや、オートロックなどのセキュリティ体制をあまり重視していなかったので、私たちには新築のメリットは少ないなと思いました。それよりも都心の中古マンションを無理のない予算で買って、中を自分たちらしく設計できるリノベーションに魅力を感じましたね。
ー リノベーションをしてよかったことは?
奥様:やりたいことがすべて盛り込めたことですね!使いたい素材やパーツのランクを落とすといった多少の金額調整はありましたが、それも住んでみると、叶えたかったイメージや暮らしは実現できていますし、引っ越して間もなく1年ですが、「こうしておけばよかった」と思う部分は全然ないんです。
ご主人:私たちにとっては、中古を買ってリノベーションをすることがすべてにおいてうまくいく、ベストな方法だったと思います。一軒家を建てるくらいの自由度がありました。
奥様:リノベーション以外だといろいろと諦めなくてはならないことがあったと思いますね。
ー やりたいことはどのようにして伝えられたのでしょう?
ご主人:最初の打ち合わせで、趣味とか今後やりたいことを沢山ヒアリングしてくださいましたね。
奥様:私たちがやりたいことをどんどん言って、それを聞いたうえで「こういうのはどうですか?」と提案していただきました。私たちのあいまいなイメージを、写真をスクラップにしたりその場でデッサンを描いたりと、岡野さんが具現化してまとめてくださったという感じです。
ご主人:「ここに骨組みがあるからこうしましょう」とか「開けてみたらここがこうなっていたので、ドアの位置を何cm移動させましょう」とか、きちんと理由のある提案だったので信頼できましたし、納得感がありましたね。あと、施工をお願いした工務店さんもすごくよかったです。ただただ指示通りに工事をしますという感じじゃなくて、現場で「こうしたらかっこよくなるし費用も下がりますよ」と意見をいただいたりと、親身になって作ってくださり感謝しています。
ー キッチンを二列にされたのはなぜですか?
奥様:キッチンは壁面に梁があって上部に希望の棚を作れなかったので、収納を確保するためにも二列にしています。業務用のような男前な雰囲気にしたくてIKEAのステンレスのキッチンを選びました。収納パーツも豊富なのでいろいろとアレンジができる使い勝手のよさも決め手の一つでした。腰壁はほどよく目隠しになるので、設けてよかったです。将来的には壁にカウンターを作るのもいいかなと思っています。
ー 腰壁が黒で塗られているのも締まりがあっていいですね。
奥様:黒を差し色にしたかったので、腰壁や扉を黒で塗って空間全体が引き締まるようにしました。パントリーの中は、リビングのネイビーと色を揃えています。共働きなので、ストックできる場所があるのは助かりますね。置き場所を気にせずまとめ買いができて、すっきりと収納できます。間取りを考える際に様々な雑誌などを読みましたが、その中で収納に関してとても参考になったのは『リライフプラス』という雑誌の「ウォークインクローゼットと土間とパントリーがある家はすっきり片付く!」という特集でした。 私は片付けがあまり得意じゃないので、それを見て「これだ!!」と思いました(笑)
ー リライフプラスに掲載されたEcoDecoの事例はこちら
ご主人:キッチンは妻に任せた部分ですが、私もとても気に入っています。ここに引っ越してから、コーヒーという新たな趣味ができました。気になるコーヒーショップを巡ったり、コーヒーを淹れる道具を少しずつ買い揃えたり。
奥様:今は主人がコーヒー担当ですよ。
ご主人:以前の家では特にこだわりはなくてインスタントコーヒーでもよかったんですが、このキッチンにいると「せっかくだから丁寧に淹れて飲みたいな」という気持ちになりますね。
ー 家で過ごす時間を大事にしようという思いの表れですね。
奥様:それはあると思います。私の場合、通勤時間がかなり短縮されて、心穏やかに過ごせる時間が増えた気がします。アフター5に映画を見たり、家具を見たりすることもあって、平日でもプライペートな時間を楽しめる余裕ができて、暮らしの質は変わりました。
ー 玄関扉を開けると、まず目に飛び込んでくる土間。アウトドアやスポーツグッズがアクセントにもなっていて素敵ですね。
ご主人:有孔ボードを取り付けて、夫婦共通の趣味である登山やバーベキュー用品、私の趣味のサッカーや学生時代に励んでいたラクロスなど、アウトドアグッズをかけています。ここは「見せる収納」にして選抜アイテムを飾って(笑)、こまごまとした物は奥のウォークスルークローゼットの方に収納しています。
奥様:土間に設置した棚板は自分たちで木材を切って手作りしました。電球も気に入ったパーツを買って塗装したので愛着がありますし、既製品よりもコストカットできましたね。
ご主人:土間では、DIYをしたり、窓に面した デスク で音楽をかけながら本を読んだり、パソコンを開いて仕事をしたりと自由に使っています。土間以外にも家の中にこういう小さな溜まり場みたいなスペースがいくつもありますね。
奥様:こじんまりとはしているけど、遊びがあってくつろげる感じというか。家全体に言えることなのですが、あえて決めすぎず、住みながら変化していける余白があるように作っていただきました。
ご主人:私は一軒家で育ったので、窓を全開にできる風通しのいい環境が好きで。土間を設けることで、都心のマンションでありながら、どこか郊外の家のような広々とした感覚やラフさを生み出せたかなと思っています。多少石ころがあってもササッとほうきで掃けばいいですし、登山靴やリュックなどの汚れたモノも気兼ねなく置けますしね。窓が多い家なので、夏でも風が気持ちよくて、エアコンをつけないことも多いです。
奥様:設計を手掛けていただいた岡野さんから、最初に土間の提案をされた時は「部屋にモルタルを流せるんだ!」とびっくりしました(笑)。新築マンションではまずありえないですよね。アウトドア感のある雰囲気にしたかったので、壁面にはラーチの合板を使っています。この壁と一体化するように、ウォークスルークローゼットの引き戸が、隠し扉のようになったデザインも気に入っています。
ー なるほど。ラーチのしっかりとした木目が美しくて、有孔ボードに飾ったアウトドアグッズの雰囲気とも合っていますね。
奥様:下駄箱は、表情を変えてラワンの合板を使い、扉には有孔ボードと同じ黒で塗ってあります。これは廊下を抜けた先にある、リビングのキッチンのテイストに寄せているんです。そうすることで、アウトドア感のある土間とリビングを違和感なく繋げたかなと思っています。
▷玄関土間側から見た廊下兼洗面
▷洗面はオープンに。洗面台が玄関に?!と驚くが、実は使いやすいそう。
ー 洗面所が玄関のすぐそばにありますよね。
奥様:洗面台は脱衣所にあるものと思い込んでいたのですが、打ち合わせで「脱衣所に広さがほしい」「収納はもう少し幅を出したい」と希望を伝えている時に、ふと岡野さんが「洗面台を外に出しますか?」と。外に出せば、脱衣所も広くなって、こんなことやあんなこともできますよと提案してくださいました。
ご主人:思いがけないアイデアでしたが、結果的に間取りの中では一番気に入っている場所ですね。
奥様:ここに洗面台があると、汚れたアウトドア用品を洗いやすいので便利です。お客様にも使いやすいと褒められますね。照明 は 船舶用のマリンランプを取り付けました。真鍮製で暮らしていくうちに色が変わっていくので、経年変化も楽しみです。以前は、洗面所はお客様に見せない場所、イコール汚れていてもあまり気にしない空間でしたが、オープンになることで「常にキレイにしていたい」という気持ちが自然とわいてきました。脱衣所の方は他のスペースとはテイストを変えて、シナ合板を使って白を基調にナチュラルで清潔感のある雰囲気にしています。扉をルーバーにしているので、窓がなくても湿気がこもりにくくていいですよ。
▷玄関土間側から見たWTC(ウォークスルークローゼット)。帰宅して寝室に入る頃には、すでに着替え終わっていることができる。
▷寝室側から見たWTC(ウォークスルークローゼット)。床はモルタルライクという塩ビタイルで手入れがしやすい。
ー ウォークスルークローゼットはどのようなオーダーだったのですか?
奥様:これは当初からのこだわりでした。できるだけ一カ所にまとめてすっきりと収納したくて。生活シーンを思い浮かべて間取りを考えると、ウォーク“イン”ではなく“スルー”にしたほうが袋小路にならず、生活動線の可能性が広がると思い、通り抜けられるようにしました。土間に窓が二つのあるので、日当たりもよくて風もよく抜けるんです。
ご主人:人の動線だけでなく風通しという部分でもウォークスルーにしてよかったですね。クローゼットの中は棚柱だけ取り付けてもらい、棚板は自分たちでホームセンターで木材を買ってきて好みの高さで設置しました。私は仕事から帰ると、いつも廊下を通らず土間のほうからウォークスルークローゼットに入っていますね。そこでスーツをかけて、部屋着に着替えて、片手に携帯、片手に脱いだYシャツを持って寝室から脱衣所へと抜けて、リビングの手前で初めて「ただいま〜」って(笑)。
奥様:「おかえり〜」と返事をした時には、いつもすでに「できあがった状態」ですね(笑)。
ー 無駄がないですね!ところで、ウォークスルークローゼットの床はなんという素材でしょうか?
奥様:モルタライクという、モルタルをイメージしたマットな質感と色味の塩ビタイルを貼っています。キッチン、脱衣所、トイレも同じモルタライクで統一しています。水を弾きますし、サッと拭けば汚れが落ちるのでいいですね。寝室は必要最小限の物だけを置いて、できるだけコンパクトにしました。そのぶん、土間やクローゼットなどにスペースを贅沢に使いたかったので。寝室の扉は引き戸を上から吊ってあるので、床にレールがなくて掃除がしやすいのがお気に入りです。
ー リビングに入るとネイビーの空間が目を惹きますね。
ご主人:打ち合わせ段階では小上がりを作りたかったんですが、最終的にはデイベッドを置くことにしました。実はこれ、無印良品のベッドにマットをのせているだけなんです。ベッドのサイズに合わせてマットを造作していただきました。小上がりに求めていた自由な遊び場的な役割は果たしつつ、費用は1/3くらいに縮小できたので満足しています。プロジェクタースクリーンを下げれば簡易的な仕切りができてプライベートな空間にもなります。家族や友人が遊びに来た時はここを寝室にしています。プロジェクターも楽しいですよ。TVゲームをするとキャラクターたちが等身大ですから(笑)。
▷スクリーンを下げ、袖の引き戸を閉めると、簡単な個室ができあがる。
奥様:ゆくゆくはクッションをたくさん置いて、棚を作って本を並べたりして、さらに居心地のいい場所にしたいと思っています。「泊まれる図書館」をコンセプトにしたホテルの写真を見た時に、ソファで本を読んでいる様子が素敵だなと思って。そんなふうに、頭の中に「こうしたいな」っていうリストがたくさんあります。想像している時間もまた楽しいですね。
ー ベランダの手前あたりはタイルにしているんですね。
奥様:これも私たちのリクエストの一つで、インナーテラスにしています。この物件のネックをあえて言うならベランダが狭いこと。三角になっているので向かって左側はほとんど使えない状態です。でも、新しい家では緑を楽しみたかったので、ベランダを広く見せられるインナーテラスを選びました。水に強くてガシガシ使えるようにタイルを敷いています。
ご主人:最近力を入れているのはプランターの栽培です。緑はこれからもっと充実させたいですね。カーテン上の梁にあるボルトは、工事の最終段階でカットするか確認されたのですが、残したおかげでグリーンの鉢をかけたり、空間を立体的に楽しめています。
奥様:ここはもともと造作で二重になった壁だったようです。今はその壁を取り壊して躯体現しにしています。できるだけ無骨というかインダストリアルな雰囲気にしたいというのは二人の要望だったので、天井も躯体現しにしてもらいました。
ご主人:二重壁や二重天井は、実際に取り壊してみると躯体が汚くて、現しではイマイチなこともあるそうですが、ここは比較的きれいだったのでそのままににしています。でも、ところどころに大工さんが書いたらしき走り書きのメモが残っていたり。土間の躯体にも1000とか書いてあります(笑)。それも味わいかなと楽しんでいます。
ー 今後はどんな風に家作りをしていきたいですか?
ご主人:引っ越し直前に、リビングの床を自分たちで塗って愛着がわいたことをきっかけに、DIYを楽しむようになりまして。壁に穴を開けたり賃貸だったらNGなこともできるので、棚板やフックの取り付けが気軽にできるようになりました。すのこを解体して棚を作ったり、2つの棚をくっつけてみたり。自分で作ってみると楽しいですし意外と簡単にできるんだなと気付きました。
奥様:つい先日も洗面台の壁面にペーパーホルダーを設置しましたね。気楽にカスタマイズできるように、予めあちこちの壁に下地を作ってもらっているんです。
ご主人:友人の子供がダイニングテーブルに落書きをした時もテーブルをやすりで削って塗れば問題なし!みたいな(笑)。キッチンの腰壁に掃除機をぶつけて穴を開けた時もパテで埋めて黒く塗れば目立たなくなりました(笑)。家って自分で直していけるんだな、自由に作っていけるんだなと感じています。この家に暮らし始めてからモノの選び方も変わってきて、吟味するようになりましたし、少しずつ家を育てていきたいと思っています。
インタビュー中も笑いが絶えず、明るくストレートなS様夫婦。そんなお二人の人柄にも通じる遊び心溢れる家は、空間の使い方にメリハリがあり、きちんとこだわりはありつつも、いかようにも使える、可能性に満ちたスペースがたくさんありました。引っ越して1年足らずの間に、DIY、ガーデニング、コーヒーと新たな楽しみを次々と増えているところからも、日々の暮らしが充実していらっしゃることが伺えました。また、収納を確保するための土間やウォークスルークローゼットのあり方は、これからリノベーションを考える方にも大いに参考になるはず。ライフスタイルに合わせて自分たちだけの色を重ねていく。そんな余白のある家づくりはリノベーションならでは。数年後にはどんな家になって、どんな趣味を楽しんでいらっしゃるのか、今から楽しみです。
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