二人暮らし/71〜80㎡
築14年の中古マンションを購入し、既存利用をしながらリノベーション。「LDKとベッドルーム」「収納とワークスペース」に切り分けたユニークなレイアウトに、照明、グリーンや多国籍な小物…と遊びゴコロ溢れたお部屋です。映像関係の仕事をしているA様と照明デザインの会社にお勤めのK様、そして愛犬コシャリちゃんの暮らしを伺ってきました。
▷日当たりの良さを条件に物件探しをした甲斐あって、家全体が明るい光に満ちています
ー小上がりで寝室を区切るのは開放感があっていいですね。
K様:とにかく圧迫感のない、開放的な家にしたかったので、壁を設けずに段差をつけて仕切るのは良かったですね。
A様:二人暮らしがベースで、それほど部屋数を必要としていなかったので、開放感を優先した間取りにしました。寝室には目隠しのファブリックをつけましたが、現状はほとんど上げたままです。
齋藤:とてもオープンな空間なので、寝室スペースはプライベート感をもたせるため、床を少し上げることにしました。台形状として、また階段ではなく幅のあるZ型のひな壇によって緩やかに仕切っています。ステップとしては勿論、植物など物を置くにも良いと思います。
ー特徴的なかたちですね
齋藤:四角の小上がりではなく、且つ奇抜過ぎないような、少しニュアンスのあるような内容を考えてZ型になりました。高さや幅などは、AさんKさんと実際にシミュレーションしながら決めました。Aさんのアイデアで、照明のダクトレールはこのZ型を天井に転写しています。
▷小上がりが四角ではなくZ型なのもポイント。天井の黒いダクトレールもZ型で揃えています
ーファブリックといい、照明といい、天井の遊び方が素敵です。
A様:解体してみると、想像以上に利用できる穴が開いてることが分かって。新規にアンカーの穴をあけることを考えていたけど、せっかくなら元の躯体を活かそうと考えました。暮らし始めてからも、この天井には日々イマジネーションを掻き立てられています。
K様:当初、私はあまりリノベのことを知らなくて、天井をコンクリートのまま残すこと自体に驚いていたのですが、彼からいろいろな事例を見せてもらううちに、いいなと思うようになりました。生活する中でよく使うモノを吊るしておくこともできて実用的でもあります。
A様:コシャリ(ペットの柴犬)のリードを吊るしたりね。それと、埋込み型の照明があまり好みではないので、間接照明をメインにしたいなと考えていて。ただ、掃除をルンバに任せていることもあって、床置きではなく提げるタイプのペンダント照明で部屋のニュアンスを作ろうと決めました。
K様:寝室のケーブルアートは、長いケーブルを買ってきて二人であれこれ悩みながら付けたよね。
ーユニークでかっこいいですね!壁色ともマッチしています。
▷寝室の壁のブルーにケーブルアートの白いラインと黒いフックのコントラストが素敵です
K様:寝室の壁は、上野の美術館で見たハマスホイの作品に使われていたブルーに影響を受けて選びました。
A様:ハマスホイは北欧のフェルメールと言われている画家です。二人ともそのブルーをキーカラーにした作品に惹かれ、ベッドサイドの壁はこういう色にしようと話しました。
ー目指していたインテリアのスタイルはありましたか?
A様:どの壁を取り払って、何を既存利用するかというイメージはわりと明確だったので、自分なりに間取りを何パターンか描いて、(設計担当の)齋藤さんに共有しました。
齋藤:設計相談の時には、既にゾーニングが12パターンありましたね。
ー具体的に沢山の案を考えられていたのはすごいですね!
A様:カチッとしたマスタープランを作ったわけではないです。インダストリアルやアメリカンなど何らかの方向に振るのは、私たちらしくない気がしていたので、やりたいことや目指す方向性の情報共有が目的です。具体的なデザインのイメージは斎藤さんからご提案いただきながら一緒に考えていきました。
▷キッチンのステンレスとウッドの組み合わせはA様のアイデア。ヤマギワのsystemXの照明もマッチしています
齋藤:「フルリノベーションはしない」「なるべく広くしたい」とご要望をいただいていましたので、あまり作り込まないリノベをイメージしながら、その後はA様にバトンタッチするつもりで考えていきました。最初はキッチンも既存利用を活用したいとおっしゃっていましたよね。
A様:そうですね。キッチンは壁を取り壊すだけにして、そのぶんリビングが広くなればいいかなと思っていました。ところが、齋藤さんから「使用感のあるメーカーキッチンと新しいモノが混在すると、LDKに統一感を出すのが難しいかも」と伺って。それで、限られた予算の中でどこまで広く、バランスのとれた空間が作れるか、を軸に考えるようになりました。たとえば、キッチンの位置を動かすと配管を移動させる必要が出てきて予算が上がるので、位置はそのままにするとか。結果的には、キッチンは壁付けすることで、生活感が抑えられてよかったです。
齋藤:オープンな空間なので、既存キッチンだけ違うニュアンスとして見えてきてしまう。古くても味わいがあれば良いのですが、そうでもなかったので…逆に水廻りや玄関などの閉じた空間は既存利用を行いました。
ー既存設備利用以外はどのような方法で費用を抑えていますか?
齋藤:フローリング床(床暖房)や変更しない間仕切り壁も利用しています。既存一掃でない場合、設備配線や配管、それから壁や床などの下地や取合いなど、現状とすり合わせていく、というのが意外と難しいという側面もありますね。
▷玄関のタイルは既存利用、シューズインクローゼットは元の扉を外して既存利用されました
▷既存利用した洗面台に造作した棚板は無印良品の鳩時計がぴったりと収まるようデザインしています
▷座り心地はもちろんリビングの広さやテレビとのバランスも考慮して選んだソファはお二人のお気に入りのスペース
ーインテリアもとても素敵なのですが、お二人で決めていらっしゃるのでしょうか?
K様:ほどんどの家具は引っ越してから買いましたが、私は家具や小物にこだわりがないので、基本的に任せました。唯一ソファは一緒に見に行ったね。
A様:ソファは座り心地も大切な要素なので一緒に選びました。都内の家具店を何軒か見に行って、最終的に、倉敷にあるTEORIという竹の集成材で作られたソファにしました。施工中にちゃんと部屋に合うサイズか、ソファの寸法どおりに新聞紙や段ボールを置いて確認して決めました。
K様:キッチンのカウンターとリビングは造作していただいたのですが、テレビも壁面収納の大きさに合わせて新調しました。
A様:休日に二人でNetflixを見ることが多いのと、動画を見ながらストレッチをすることもあるので、テレビの前で過ごす時間が長いだろうなと想定していて。なので、リビングのレイアウトはテレビを中心に考えていきました。
▷間接照明かと思いきや実は植物育成ライト。小物の選び方だけでなく使い方にまで随所にセンスが光ります
ー壁面収納に飾られた小物がどれも個性的で可愛いです。
A様:コロナ禍以前は年に何度か海外出張があったので、オランダ、デンマーク、エジプト、イタリアなど海外で買ったモノが多いですね。置く場所は考えずに「可愛いな」「面白いな」と感じたモノを買っていたので、ここに引っ越して、これまでに買ったモノをようやくすべて飾ることができました。
▷愛犬の柴犬コシャリちゃん。お二人の好物であるエジプト料理「コシャリ」が由来だそうです
ーワンちゃんとの暮らしは、この家に引っ越してからでしたよね。
A様:犬を飼うことは当初から予定していたので、エリア選びは考慮しました。というのも、以前、副都心エリアに住んでいた時に何度か知人の犬を預かった際、あまり散歩できる場所がなくて困った経験があって。散歩がしやすいような大きな公園が近くにある物件にしたいと思っていました。
K様:この辺りは犬にとってもいい環境なので、犬を散歩させている人も多いんです。
A様:朝夕散歩していると、顔見知りになる方もできて、犬と暮らすことで新たな世界に触れた気がします。内装でいうと、段差を少なくしたり、ケーブルやコンセント類があまり見えないように気をつけたりしました。あとはフローリングだと滑りやすいので、部分的にムートンや畳を敷いています。
K様:ケーブル類は元々見せたくないっていうのもあったしね。キッチンに入らないように、造作のカウンター横に扉をつけられるよう補強もしてもらいましたが、おとなしい性格でキッチンには入ってこないので、結局つけていません。
ーお散歩はお二人で?
A様:運動を兼ねて私が行くことが多いです。気候のおだやかな時期はワークスペースの横のテラスで遊ばせながら、私は椅子に腰掛けて本を読みながらビールを飲んだりもしています。といっても、コシャリはちょこんと座っているだけなんですけどね。実は、ドックランで愛犬が走り回る姿を見たいなと思っていたこともあって、近くにドッグランがある物件を選んだのですが、まったく喜ばないんです(笑)。本当におだやかな子ですね。
▷リビングから廊下を抜けてワークスペースへ。普段は扉を開け放し、集中モードの時は閉めて使い分け
ー在宅勤務中心とのことですが、ワークスペースはどのように考えましたか?
A様:彼女はオフィス勤務なのですが、私が在宅勤務中心なのでワークスペースを使うのは私だけです。以前住んでいた家ではワークスペースがゆるい一体型で、私にはあまり合わないなと感じていて。
ー合わないというのは、なかなかスイッチをオフにできないということでしょうか?
A様:逆ですね。オンにならないんです(笑)。なので、独立した空間にしたいとリクエストしました。日中はずっと一人なのでゆるいオン/オフという感じですが、仕事の締切りが迫ると、扉を閉めてノイズをシャットダウンして集中できるのは良いですね。通常は開けていて、コシャリも自由に行ったり来たりしています。
ークローゼットとワークスペースはつながっているのですね。
A様:予算削減のため仕切る壁も造らず簡易に。洋服などが多いのでワークスペースとの広さのせめぎあいはありましたが、クローゼットはミニマムなサイズで落ち着きました。
▷クローゼットとワークスペースはファブリックで仕切っています。窓の向こうにハーブの栽培もしているテラスが広がります
ー昇降式のデスクは使い勝手が良さそうです。
A様:デスクも椅子も引っ越してから購入しました。ソファ同様、椅子も自分の体に合っていないと大変なので、WORKAHOLICというオフィスチェアを座り比べられるお店で相談しながら時間をかけて決めました。「皆さんそもそも座り方を分かっていません」というところから始まって、座り方の指導やテーブルの高さとのバランスも教えてくれて、丁寧に選べるのでおすすめです。
ーたしかに、自分の座り方が正しいかと問われると自信がないです(笑)。
▷テラスにも室内にも植物がたくさん。水やりはもっぱらA様の担当だそうです
ー引っ越して1年。今後の『暮らしづくり』のイメージはありますか?
A様:生活動線や掃除のしやすさなど暮らしてみないとわからないことも多いので、ゆっくりと生活しながら整えています。実は、まだモノの置き場所が全体的にまだしっくりときていなくて。足りないモノで言うと、家族や友人が遊びに来てくれた時に座る場所がないので、グリーンを置いたり椅子になったりするようなスツールを追加して、アレンジするのがいいのかな…とか、あれこれ考えるのも楽しみのひとつですね。
▷1段目の小上がりはゆるい傾斜を設けています。一部はコシャリちゃん専用スペースに活用
照明や雑貨、グリーンのセレクトもさることながら、その飾り方も素敵で、A様のセンスが遺憾なく発揮されたリビング。そのさりげなくも洗練された飾り方に「ふと気づくと増えているんです」とK様が笑いながらおっしゃっていたのも納得でした。グリーンを育て、愛犬とゆったりとくつろぐ生活は、都会に生きる大人のお二人暮らしの理想形に思えました。
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