二人暮らし/81㎡以上
コロナ禍を含む足掛け3年という長期プロジェクトだったI様邸。妹さん、ワンちゃんと3人家族が心地よく暮らせる住まいを追求し、広いテラス付きの都心の中古マンションをフルリノベーションされました。EcoDecoは、リノベーションを担当。お二人のこだわりが細部に至るまで反映され「ここに住んで旅行にも行かなくなった」というI様姉妹。情熱を燃やし続け、高い満足を叶える家づくりはどのようにして進んだのか、お話を伺いました。
I様:思い返すと、設計担当の齋藤さんとの出会いはこの家ではなかったんです。以前住んでいた60㎡のマンションでリノベーションの相談をしたのが最初でした。
齋藤:問い合わせいただいた当日に、相談にこられましたね。
I様:当時は家にいる時間が長かったので、外に出たかったのかもしれません。プラン提案までいただいたのですが、二人と一匹で暮らすにはどうしても手狭で。特に、お互いダブルベッドを置きたいという希望を叶えようとすると、寝室がベッドだけで終わってしまう。それで、思い切って住み替えに舵を切りました。
▷LDKの一角。ダブルベッドを並べても余裕の広さ!就寝前に壁面へ動画を投影することもあるそう
——今のお住まいは100平米近いですよね。
I様:はい。前の家は早々に売却し、賃貸に住みながら物件探しを再スタートしました。「都心・広いルーフバルコニー・100㎡前後」という条件は希少で、他の方と競り負けたこともありました。ここは間取り図を見た瞬間に「良さそう!」とピンときてすぐに申し込みしました。
——リノベーションの依頼先として、再度EcoDecoを選ばれた決め手は何だったのでしょう?
妹さん:幅広いアイデアを見てみたくて一度は他のリノベーション会社との競合プレゼンもしましたが、早い段階で「やっぱり齋藤さんだね」と二人で即決でした。概算見積の際に、私たちの場合、やりたいことが沢山あるので、詳細が決まらないと費用感を把握するのは難しいと言われて、確かにそうだなと思いました。最終的には「私たちの細かいリクエストをいちばん叶えてくれそう!」と思えたことも決め手でした。
I様:私たちのリクエストを再現してくれるだけではなく、会話の中からどう発展してくださるかも重要な観点でした。齋藤さんとはお付き合いが長いこともあり、そういった関係性も構築できていたのだと思います。「そこはそうじゃない」とか「ここはこっちが良い」としっかりと説明してくださることが信頼につながりました。
齋藤:既存のお部屋は細かく区切られていましたが、スケルトンにすればI様の望んでいる開放感のあるお部屋を作れそうだと感じました。
I様:元々、区切られた個室をそれ程必要とはしていなくて、オンライン会議の時に閉じるスペースがあれば良いと思っていました。
▷唯一個室になっている書斎。外に目をやると、バルコニーでは妹さんの育てるたくさんの野菜が成長中
——約100㎡をほぼワンルームに、という大胆な間取りです。
I様:幼い頃から家族がリビングに集まる家で育ったことや、海外で生活した経験から、広い空間がもともと好きでした。賃貸暮らしで「私たちに個室は不要だ」と改めて思いましたね。内装は、シンプルというよりもう少しニュアンスがあることをイメージしていました。過度にならない程度に装飾的な要素も取り入れたいなと。
▷施工中に相談しながらアール部分に設けたキッチンのニッチ。料理本を並べています
I様:アールは絶対に入れたいとお伝えした記憶があります。ただ、可愛くなりすぎないよう、厚みを出したり丸くしすぎないようにしたり、表情に変化を付けていただきました。
齋藤:全部で4箇所になりましたね。
——収納スペースも多いですよね。物量はお二人とも同じくらいですか?
妹さん:靴は大半が姉のものです。
▷玄関土間はシュークローゼットとしても活用しています
▷第2の廊下としても活用しているウォークスルークローゼット。衣替え不要の容量です
I様:玄関土間の靴置き場は、妹が綺麗に並べてくれました。
妹さん:洋服も姉のほうが倍くらいあるかもしれません。それらを季節ごとに衣替えするのは面倒なので、ウォークスルークローゼットにしました。
——クローゼットと対面の洗面スペースのアクセサリーは圧巻です。
▷リノベで仕込んだマグネットウォールに、I様が設置された見事なアクセサリーラック。眺めているだけでテンションが上がります!
I様:ずっとこんな風に整理整頓したくて、山崎実業とニトリでパーツを購入して一つ一つ並べました。
妹さん:ここはほとんど姉一人で整理していたので、完成したときは「よくやったね!」と褒め讃えました(笑)。
——化粧台のミラーに映るから毎日気分よく身支度できそうです。ご自身では“面倒くさがり”とおっしゃいますが、好きなことには手間を惜しまないですね。
妹さん:二人とも明暗がはっきりしていて、やりたくないことは本当にやらないんです。
——なるほど。メインの通路を挟んでもう一方に設けたウォークスルーはパントリーになっていますね。
▷パントリーには食材別のボックスを設けて分類。手前にあるのは大型の冷凍庫です
▷玄関とワークスペースを仕切る扉にはステンドグラス調のフィルムを貼りニュアンスをプラス
妹さん:こちらはキッチンにつながっています。食材や水などネットでの購入が多いので、玄関からパントリーが近いことは重要でした。そうでないと、玄関付近に物がたまってしまうので。
I様:パントリーの収納は各ボックスの中身を細かく決めすぎないのがポイントです。細分化しすぎると、分類に迷って分けづらくなりのちのち面倒になるので、用途を決めていないフリーのボックスを作ったり、あえて大雑把にしています。
妹さん:「若干雑だけどそれで良し!」と。「今までできなかったことは新しい家に住んでもきっとできないだろう。だったら自分たちの行動に合う家を作った方が良い」と二人で意見が一致しました。
I様:「新しい家になったらがんばります!」は、絶対にやりませんから(笑)。
——「自分たちの行動に合う家」というお話がありましたが、具体的にはどのようなことでしょうか?
妹さん:基本的に二人とも“面倒くさがり”なんです。だから、まず「自分たちが面倒だと思うこと」を全て洗い出し、それを齋藤さんに伝えてプランに落とし込んでもらいました。
▷左手に少し写っている引き戸を含めて、3つの動線があって便利。巾木は塗装の塗分けで表現しています。計算された高さで、上品な印象の仕上がりに
I様:バルコニーの膨大な植木への水やりも、自動灌水を導入しました。
齋藤:デザイン面ももちろんですが、同時に機能性、使い勝手においても検討を重ねられましたよね。お二人が生活習慣やご自身の行動を振り返って「絶対にこれは面倒になる、だからこうしよう」などと合理的に判断されていました。
——ご自宅ではどのように過ごすことが多いですか。
I様:ほとんどの時間をリビングで過ごしていますね。仕事も、オンラインミーティング以外は、リビングでしている方が意外と多いかもしれません。あとは良いキッチンを作っていただいたので、やっぱり料理を楽しむ時間が増えました。
——妹さんが作った野菜をお姉さんが調理されるのですね。
I様:はい、突然「今日はナスです」と収穫したての野菜を出されるんです(笑)。
妹さん:「浅漬けにする? それとも焼く?」なんて言ってね。
——キッチンは見たことのないパーツばかりでこだわりが詰まっていそうです。
▷上品なグレートーンのキッチンに赤いル・クルーゼのキッチンツールが映えます。壁面のほとんどはマグネットパネルで自在にキッチンツールを収納できるようになっています
I様:もともと、クォーツストーンのカウンターにしたいと思っていて、齋藤さんからシーザーストーンをご提案いただきました。
妹さん:ショールームでは大きなサイズのサンプルを見て、選んだものがとても気に入りましたね。
——もしかしてシンクも同じ素材ですか。
I様:はい、カウンターテーブルまで1枚で続いているのに、中だけステンレスにするのはどうしてもイヤで。予算はかかりましたが、キッチンに立つたびに気分が上がるので、採用して正解だったと今も思っています。
齋藤:カウンター同材のシンクはとても特別感がありますね。
——水洗もすごくかっこいいですね。
I様:真鍮やゴールド色を他の箇所でも取り入れていて、水栓も真鍮を選びました。センサー式であることも必須だったのでこのKOHLER製になりました。食洗機は、フロントオープンで国内メーカーを希望していたので、リンナイ製です。
妹さん:タカラスタンダードのレンジフードはホーロー製で、掃除が楽で気に入っています。壁はマグネットパネルを採用したのですが、これも本当に便利で、掃除もしやすいです。
▷左手奥の角にあるのが動線の軸になっているという、食洗機
▷バルコニーへの掃き出し窓は高いので、収納を兼ねたステップとしています
妹さん:食洗機を軸にした動線が完璧です!シンクでさっと洗って食洗機に並べる。洗い終わったら、食洗機の前に立ったまま背面のニッチにカトラリー、棚に食器を並べる。想定したとおりの動線です。洗う手間も片付ける手間も最小限になりました。
——一つ一つのパーツを本当に吟味されたのですね。
I様:ショールームにはたくさん足を運びました。
——カウンターで食事をされることもありますか。
▷バルコニーへのステップの一部は引き出してスツール代わりにも活用できます
妹さん:ソファで食べることが多いのですが、カウンターでも食べられるようバルコニーの周囲に設けた収納のうち、二つだけコロコロを付けて動かせるようにして、ハイスツールとしても使えるようにしています。
——なるほど。お友達が来たときにも使えそうですね。
妹さん:実は、私たち、お友達をここへ招く予定はないんです。
I様:招く設定ですと、おそらくベッドルームも仕切らずワンルームにすることはなかったと思います。
妹さん:家族が遊びに来たときに椅子が足りなければこのスツールを使うという想定でした。
妹さん:ぽんちゃん(飼い犬のポメラニアン)を中心に考えた要素も多いよね。 この子があまり外でお散歩するのが好きではないので、家の中を走り回れるようにしたくて。
—これだけのスペースがあれば外へ行かずとも充分ですね。
▷凹凸とクッション性のあるフロアタイルはぽんちゃんの歩行性を優先して選択
I様:猛ダッシュをすると滑ることはあるけど、海外製品も含めて比較検討してできるだけ滑らない床材を選びましたし、アンダーレイも敷いて歩行感も柔らかいので、足への負担はかなり軽減できているのではないかと思います。
妹さん:ベッドもソファもいちばん良い場所はたいていこの子が占領しているので、結局私たちは端っこでちんまりと過ごしていることも少なくありません(笑)。
齋藤:わんこトイレやシーツ、クレートを納める場所なども様々検討しました。
——この家のもう一つの主役が、バルコニーですね。
妹さん:はい。散歩があまり好きではない愛犬(ぽんちゃん)が走り回れるように、というのがルーフバルコニー付きにした一番の理由でした。ウッドデッキの上に人工芝を敷いているので、足も汚れません。
——ガーデニングも本格的ですね。
I様:バルコニーが大きいので自然と花を植えたり、野菜を育てたりするようになりますね。家でできることを充実させたかったので、とても満足しています。
——お二人で庭の手入れをなさるのですか。
I様:私が花、妹が野菜の担当です。ここに住んでから何種類も薔薇を植えて、どれもよく咲いてくれていますね。ウッドデッキもフェンスも別々の会社にオーダーして、さらにフェンスの施工は便利屋さんに依頼しました。その後も、自動灌水設備を導入したり、パラソルとテーブルを購入したりと、自分たちで追加しています。
I様:バルコニー近くに設置した天井ルーバーもお気に入りです。
齋藤:大きなアーチと同時に見えてくるし、キッチン側からも見えるので、ルーバーのサイズや間隔が自然に感じるように、原寸サンプルをつくって現場で一緒に確認しましたね。
I様:植物をハンギングしたいと思っていましたが、イルミネーションも付けたので、夜ベッドから眺めると、リビングのグリーンからルーバー、バルコニーへと視界が抜けてとても綺麗です。
——この部屋の将来的な可能性は考えていらっしゃいますか。
I様:もしも将来違う場所に移り住むとしたら、ここを賃貸に出せるのかな、と話すことはあります。でも、私たちの希望に寄せすぎているから難しいですかね。
齋藤:EcoDecoでリノベをした方が、その後売却されたり賃貸に出されたりする際に、同じような心配の声をよくうかがいます。ですが、しっかりと考えて作り込まれている家ばかりですので、ニーズはありますし、手を入れずそのまま住まわれる方も多いですね。
——ここを賃貸に出すとしたら、お2人はどこに住まれる予定なのですか。
妹さん:2人とも現実逃避したくなると「沖縄に行く!」と言っています(笑)。とはいえ、今は自然を求めに行ったり、夜景を見に行ったり、ホテルへバカンスに行ったりする必要がまったくありません。すべてがこの家で完結するほど満足しています。
I様:ここに住んでから旅行に行かなくなったよね。「家でいいね!」と家で過ごす時間が増えました。
都心とは思えない緑豊かなお住まいは本当に素敵でしたが、それ以上に印象的だったのが、お二人の家づくりに対する「答え」の導き方でした。お二人ともご自身の性格や好みを冷静に把握し、できる/できないを明確に整理。それを一つ一つのパーツへ具体的に反映されていたのは、さまざまな経験を重ねてきた大人世代ゆえなのかもしれません。「好き」と「苦手」の自己理解。家づくりに限らず、すべてはそこから始まるのかなと感じました。
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