ファミリー/71〜80㎡
映画に興味を持ち、映像撮影の仕事に就いたご主人と、アメリカ生活を経て通訳として活躍される奥様と、現在1歳のお子様の3人暮らし。お二人とも海外の生活や渡航経験が多いからか、モノ選びや、ライフスタイルには人に流されないような、基準があります。「好き」をどのように選び、実現しているのでしょうか。
資金の話になった時、私たちの収入はこれぐらいで今こういう状況です、という話をしたんです。するとその場でパパっと計算してくださってイメージが湧きました。夫婦共にフリーランスだったのでローンは難しい方だったと思いますが、どうしたらいいかアドバイスをしてくれるプロに相談できてよかったです。
ー 目黒から3駅の西小山。都心に近い場所でありながら、おだやかな空気が流れる街にお住まいのK様ファミリー。お互いに好きなモノもコトもはっきりしているK様ご夫妻が、お子様の誕生を機に中古マンションを購入して、リノベーションをされました。お二人の妥協をしない住まいづくりと、住まいや家族への愛情に満ちたライフスタイルを伺ってきました。
奥様:小物の場合、私はアンティークも好きなので、海外で蚤の市や骨董市によく行きます。普段から良いものを探していますし、選ぶ時はたいてい直感で決めます。見た目にはこだわりますが、“かわいい”や“キレイ”ではなく、味のあるものが好きなんです。あと手作りの品や一点モノを選ぶことが多いです。家具は、こだわりを持った会社の家具が好きですね。良い家具は高いですが、高くても時間がかかっても、そこがいいんですよ。
ー そんなK様のダイニングテーブルはTRUCKのものでオーダーしてから届くまで数ヶ月かかったのだそう。
奥様:どんな木目でどんな節のついたテーブルが来るかは分からないんです。分かっているのはサイズだけ。工場の大量生産とは違う、そういうところが好きです。
ー K様のモノ選びの基準は明快。
▷TRUCKのダイニングテーブルの上にあるのは、フランスの作家物のカップ。「日本で買うといいお値段になってしまうので、新婚旅行でパリに行った時にたくさん購入してきました。」と奥様。工業製品とは違った温かみのある素敵なカップです。後々教えていただいたのですが、ASTIER de VILLATTE(アスティエ・ド・ヴィラット)というブランドのものなのだそうです。
奥様:私たちは何か「お手本」があってそれを目指しているわけではなくて、今までの経験から良かったな、と感じるものを見つけたり、直感的に好きなものを選んでいるだけなんです。旅行に行くとついついどうでもいいものを買ってしまいます。そういう思い出のあるものがたくさんあるので、全て飾れる棚だったり、映える壁をつくりたいって思っていました。
ー 実現したのが、リビングにある壁一面の本棚だったり、キッチンの壁でした。
奥様:住まいを自分で好きなようにつくる姿勢はアメリカやヨーロッパで普通に見てきたんです。ニューヨークには築100年ぐらいで、床が斜めに傾いていてキシキシきしむぐらい古いアパートがたくさんあって。そこで住人たちは皆、自分らしく暮らしているんです。壁をペンキで塗って、自分らしいものをたくさん飾って、自分らしい空間づくりをしている。そんな姿がステキで、憧れもありました。
ー 目に見えないけれど、軸がしっかりしたK様ご夫妻。リノベーションで家をつくろうと思ったきっかけを伺ってみました。
奥様:それまで住んでいた家は45㎡しかなかったのですが、子どもが生まれることになって、広い部屋が必要だと思ったんです。
ご主人:子どもがハイハイをし出すと、部屋が狭いとすぐ何かにぶつかるじゃないですか。うちはモノが多いので、あれは触っちゃだめ、これもダメとか禁止事項が多くなる。それは僕たちのしたいことではなくて。
奥様:娘にはのびのびと育ってほしいし、家は楽しく成長できる場にしたいという思いがありました。毎日が楽しいって感じてもらえるような場を与えたい、と思い、そこから家族が一緒に過ごす場としてリビングルームをつくりたい、と考えました。毎日の食事はもちろん、好きなことをしたり、会話を楽しんだり、友達を呼んでパーティを開いたり。そうやって家族が一緒に過ごす場、人が集まれる場をつくろうと思いました。このテーブルも人がたくさん座れるようにしたくて、この大きさを選んだんです。2mあります。
奥様:子どもに友達をたくさん連れてきてほしいし、そうできる部屋を用意したかった。このリビングなら子どもたちが遊べる広さは十分にあるし、私もここで遊ぶ姿を見ていられます。ゲームを否定するわけではありませんが、子どもたちが自室に閉じこもって何をしているかわからない、という状態は避けたかったんです。
ご主人:そんな思いが始まりでしたね。そうして方法を探すようになって、EcoDecoさんの本と出会って、“中古でリノベーション”の“何でもできる自由さ”に惹かれ、僕たちにピッタリだと思うようになったんです。
ー 家族が集まり、友人が集う。家がそんな場所でありたいというご夫妻の思いが伝わってきました。
ー ご夫婦の「家での楽しみなこと」を伺ってみました。
奥様:ここに引っ越してから、私は家事をしたり、ソファで本を読んだりして、一日の大半をリビングかキッチンで過ごしています。好きなものに囲まれているので心地いいですね。その一方で寝室はホントに寝るためだけの部屋になりました。あの空間には逆にベッド以外に何もないんです(笑)。主人とも、シンプルだからこそ寝心地がいいね、と話します。
ご主人:僕は仕事柄、家にいることは少ないんです。朝からずっと出ていたり、夜中から仕事に出ることもあれば、1〜2か月も家を空けることもあります。そんなスタイルですが、家に帰って楽しみなのは、変化を見つけることなんですよ。
ー 変化とは、どういうことなのでしょうか。
ご主人:例えば、キッチンの奥の壁はマグネット塗装にしていて、気に入ったDMや写真を貼っていますが、そこはよく貼り変えています。リビングの壁も、妻がリースを作って飾ってくれています。僕がしばらく家を空けて帰ってきた時、部屋のあちこちにちょっとした変化を見つけるのが楽しいんです。二人の好きなものを部屋に置くのも楽しいのですが、それらを自由にアレンジできるってことを今は楽しんでいますね。
ー キッチンの奥にある大きなカレンダーと、広いリビングの真っ白な壁を彩る、大きなリースが印象的でした。
ー 奥様が1日の大半を過ごすというリビングとキッチン。とりわけキッチンはあまり見ない深さのシンクだったり、カウンターの高さも高い。奥様のこだわりが詰まっていそうな予感がします。
奥様:実は、料理は私より主人のほうが好きなんです。だからキッチンの設計は主人が全て決めました。
ー と、奥様から、意外な答えが返ってきました。
ご主人:料理は、学生の頃から楽しいと思うようになって、暇があればレシピ本を眺めています。キッチンを使いだすと自分なりのこだわりが生まれて、欲がでてきました。もっとこうしたいって。キッチンの一般的な高さは800から850くらいですけど、うちは900あります。シンクも深いのですが、深鍋を置いてもきちんと収めたかったからなんです。こういった機能面は僕が決めましたが、デザインや素材は妻が決めました。特にこだわっていたのは、このカウンターの壁ですね。
奥様:デザイナーさんから、キッチンが広いのでこのカウンターの壁の素材はよく考えなきゃダメだってアドバイスをもらったんです。リビングの雰囲気に与える影響が大きいから、と。私は「この打ち合わせテーブルみたいな木の感じがいいな」って思ったんです。デザイナーさんのオフィスにあったテーブルなんですが、色がちょうど良い感じなんですよ。荒すぎず、綺麗ずぎない古材がいいと思い、あちこち探し回りましたが、どうしてもピタっとはまらないんですね。いろいろ見たけど私は「やっぱりこのテーブルみたいな木を探したい」って言ったら、デザイナーさんが「じゃあ、これ使いますか?」って言ってくださって、譲っていただけることになったんです。結果、床や壁の素材ともうまく馴染み、リビング全体を結び付けてくれるカウンターになりました。
ー デザイナーさん自身もこの板を新品で買ったのではなく、フランスの古材として購入して、余った板をテーブルにしていたのだそう。リレーのように人から人へ渡ってきた木材には、誰かが書いたオレンジ色のペン跡があったありして、味わい深く、まさに一点モノです。
奥様:すごく気に入っています。打ち合わせの時に使っていたテーブルが、今は我が家のカウンターの壁になって、私たちはそれを毎日眺めて暮らしているんです。もしあのデザイナーさんに出会わなかったらつくれなかった部屋だと思うと、なんだか運命的なものを感じますね。
▷左・子ども部屋と寝室をつなぐ通路。上部をアーチ型にしたのは奥様のアイデア。右・ウォークインクローゼットは、寝室から繋がっている。
ー >リノベーションをする方の中には、お子様が小さいころは個室を作らない方針の方も多い。K様の場合は、寝室の隣に子ども部屋を作って、一人で寝かせているのだそう。
奥様:寝かしつけや、お昼寝のときはここの子ども部屋で寝かせています。結局夜中に私たちの寝室に来るんですけどね。それでもいいんです。娘が大きくなったらアーチを塞いで壁にして個室にする予定ですが、今はアーチをくぐるだけで行き来ができます。
ご主人は映像制作関係という職業柄、仕事の時間帯や休日が不規則で、リノベーション期間は大変だったのだそう。その証拠に、リノベーション期間は通常の2倍近くかかっているのです。
ご主人:打ち合わせのための時間がないとか、仕事で東京を離れていて見に行けない、なんてことも多かったです。自分が見て決めないと進まないのに、見に行く時間がないこともよくありました。この物件の内見にも仕事場から駆けつけて、30分ほど見て、またすぐ仕事場に戻る、そんな状況でした。そういう状況だと二人で帰り道に感想を話し合うことができず、後で「本当によかったっけ?」って不安になるんです。夜に家に帰ってからでは、感じたことの余韻が薄れてしまっているから、どれぐらい良かったのか自分でもわからなくなってしまう。そういう理由で即決することに躊躇しましたね。
奥様:コーディネーターさんには、「このお部屋は条件がいい。おそらく即決しないと他の人に売れてしまう物件だと思います!」って言われました。新築ならカタログを見て、自宅で考えて、注文して、多ければ抽選、って流れなのでしょうけど、中古は一軒しかないんです。だから早いもの勝ち。
ー EcoDecoのコーディネーターは、無理に背中を押したりしません。ただ、本当に「お客様に合う!」と思った場合は、別。できるだけ資料を揃えて、冷静に判断していただけるようにしています。多忙を極めた状況ながら、理想の住まいを手に入れられたのは、何か理由があったのでしょうか。
ご主人:ここも一度は断ったんです。するとEcoDecoさんから、これほど僕たちの条件に合う物件はないと強く勧められ、3回見に行ってやっと決めることができたんです。最後は、部屋をどれぐらい自由にできるのかを教えてもらってイメージが湧きました。そもそもリノベーションで何ができるかすら分からない状態でしたから、どう先を読めばいいかわからなかった。「トイレの位置も全て変えられます」って言われたことが大きかったです。うちの場合は、3割ぐらいしか決まってない状態で壊し始めました。現場を見ながらどうするかを決めていく。「いつまでに決めてください」って言われるんですが、打ち合わせまでに二人の意見を揃えておく時間がなく、当日二人の意見が一致してなくて担当者デザイナーさんの前でケンカになったこともありましたね。大変でしたが、振り返ってみればリノベーションの道のりは楽しかったです。
ー K様はご夫妻ともにフリーランス。会社員に比べてフリーランスでは難しいと言われる資金面の壁は、どうやってクリアしたのでしょうか。少し伺ってみました。
奥様:それはまず、EcoDecoさんの所に相談に行って資金の話になった時、私たちの収入はこれぐらいで、今こういう状況です、という話をしたんです。するとその場でパパっと計算してくださったんです。「これぐらい頭金があれば、これぐらいの家が買えて、リノベーションにはこれぐらいの費用をかけられますよ」って教えてもらいました。ざっくりした話だったのですけど、その言葉を聞いて実現するんじゃないかってイメージが湧きました。
ご主人:最初は二人とも会社勤めじゃないから、きっとムリだろうって思っていました。でも話を聞いているうちにだんだん僕たちも出来そうな気がしてきたんです。例えば、銀行にどう相談したらいいのかわからないようなことも、簡潔に「大丈夫、こうすれば可能です」って教えていただけて。
奥様:もし自分で本やネットで調べていたら何か月かかるかわからないような知恵を教わることができました。これは大きかったですね。もう一つは、タイミング的に幸運だったことです。フリーランスって過去3年間の合計収入の平均が年収として計算されるんです。私は2年前までフルで働いていたんですが、妊娠を機に1年前から仕事を減らしたんです。もしこの家を買おうと決めるのが1年遅れていたら、産休で仕事をしない期間が増えることになりますよね。その産休期間も含めた3年間で計算されるので、私の平均年収が減ってしまいます。もし2年間休職していたら平均年収がすごく低くなってしまうので、借りられるお金も減ります。そうなるとこの家を買うためのローンが組めなかった計算になるんです。確定申告のやり方とか書類の書き方一つ間違えただけでローンに響いたという話もよく聞きましたが、私たちはスムーズにクリアできた方でした。それはタイミングが良かったことと、どうしたらいいかアドバイスをしてくれるプロと出会えたおかげですね。
奥様:年末年始やクリスマスに、ここでパーティーを開いたんです。秋にもはバルコニーに七輪を置いてバーベキューを楽しみました。リビングに人を呼んで、人が集まる場にしていくことがこれからの楽しみです。娘が大きくなって幼稚園に行くようになったら、たくさんお友達を連れて来て欲しいです。そう思うと、やっぱり娘の成長が楽しみですね。そのためにつくった家でもあるし、楽しむスペースもつくっているんですよ。例えば玄関の正面の壁、今は3枚の絵しか貼ってないですが、これから娘の写真や、娘が書いた絵を飾るつもりで作りました。幼稚園に行くようになるときっとたくさん絵を描いて持って帰って来るでしょう。そういうのを貼りたいんです。こっちの黒板は子どもが落書きしたり、学校でもらうお知らせのプリントを貼ったりするスペースです。彼女が楽しく成長するのを手伝いたいですね。
▷右・随所にラフな照明がつけられていた。これは子ども部屋に付けられていた工事用の照明。工事中に目に止まり、施工を担当していた電気屋さんに作ってもらったのだそう。
ご主人:僕はまだ完成していない部分を仕上げていくことが楽しみです。具体的にはダイニングの照明をどうしようか、と考えています。自由にアレンジできるような天井の配線など準備はできているのですが、そういうのをどう使っていくか、ですね。
ー 通常は半年で完成するリノベーションですが、K様邸は11か月かかりました。様々なハードルを乗り越え、全力で取り組んだリノベの道のりは、ご夫婦にとってとても今では楽しい思い出だそうです。隅々にまで思いがつまったお住まい。のこれからの変化も楽しみですね。ステキなお話しをありがとうございました。
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