リビングに家族が集まる

美大出身の二人が描き出すアートな下町暮らし

二人暮らし/71〜80㎡

リノベーションに憧れ、数年に渡って複数の会社や物件を見ていたというY様ご夫婦。ともに美大のご出身で高い美意識とセンスをお持ちのお二人は、どんなところにこだわりを持って家づくりをされたのでしょうか。設計を担当した齋藤、不動産を担当した關と共に、自身が描いた絵や版画、お気に入りの作家の作品がさりげなく飾られた新居でお話を伺いました。

Profile
  • Y様邸@清澄白河
  • 30代ご夫婦/71.28㎡/2018年4月竣工
物件探しからはじまるリノベーション

実はEcoDecoさんを訪れるまでにリノベ会社は7社くらい見ていたんですが決められず、雑誌の事例を見て「自由度が高そう」と感じて連絡をしました。実際にお会いしたらすごく話を丁寧に聞いてくださいましたし、とてもニュートラルで営業マンっぽさが全くなかったのが逆によくて。相談してコミュニケーションを取りながらつくれるのが理想だったので、話しやすい雰囲気がすごく良かったです。

— Before After 平面図

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リノベ会社は7社を比較検討しました

LDK

ー リノベーションをしようと思われたきっかけは何ですか?

ご主人:私も妻もモノ作りが好きだったのもあって、中古を買ってリノベーションをして暮らすことに憧れがありました。ただ、探し始めたのは5年くらい前なんですが、なかなか希望どおりの中古マンションが出てこなくて、新築マンションも検討してみようかと内見したこともあります。

奥様:新築は全然ワクワクしなかったですね(笑)

ー ワクワクしなかったというのは?

奥様:新築ならではの豪華さや最新の設備を特別望んではいなかったからだと思います。それよりも気に入ったものに囲まれて暮らせたほうが、私たちにはあっているなと感じました。

ご主人:綺麗なんですけどある程度型にはまっているというか、自分たちが憧れているビジョンとはやっぱりちょっと違うなと思いました。それからは中古マンションに絞って探すようになりましたね。

ー EcoDecoを選んでくださったのはなぜですか?

ご主人:実はEcoDecoさんを訪れるまでに、モデルルームに行ったり話を聞きに行ったりして、リノベ会社は7社くらい見ていたんです。

奥様:でも、内見しても希望に合わず徒労に終わることばかりでちょっと疲れていて。

ご主人:タイミングもあるとは思いつつ、自分たちに買える物件はないんじゃないかとさえ思っていました(笑)。そんな時、たまたまリノベーション専門誌の『relife+』に載っていたSさんの家(映画「恋するベーカリー」の世界に魅せられて)の事例を見て「自由度が高そうで、好みの世界観をかたちにしてもらえるかも」と感じて連絡をしました。実際にお会いしたらすごく話を丁寧に聞いてくださったので、ここなら相談しながら家づくりができそうだと思って、お願いすることに決めました。

奥様:他の会社さんもそれぞれに良さはありましたが、「あれができますよ」「今ならこれがお得ですよ」みたいな、わりと前のめりな感じが多かったんです。でも、EcoDecoさんは話を聞いてくださった小林さんと關(せき)さんがとてもニュートラルで、営業マンっぽさが全くなかったのが逆によくて(笑)。

ご主人:私たちとしては、相談してコミュニケーションを取りながらつくれるのが理想だったので、お二人の話しやすい雰囲気がすごく良かったです。

バルコニーの先に広がる眺望にひと目惚れ

眺望

ー 物件探しはそのまま小林と關が担当させていただいたんですよね。

ご主人:そうですね。7月に初めて訪問してその後何件か内見をして、ここには9月末に見に来ました。

關:小林がこの物件を見つけた時に「これはすぐにY様に紹介したい!」と言っていたのを覚えています。

ご主人:ここを内見した日が私の誕生日だったんです。前日に「誕生日に内見に行くなんて楽しみだなぁ」なんて話してたんですけど、まさか決めるとは思っていなくて(笑)。エリアも希望の清澄白河周辺でしたし、何よりもこのバルコニー越しに見える眺望が気に入りましたね。

奥様:今、ダイニングテーブルを置いている場所に正座をして、ずっと窓からの景色を眺めてたよね(笑)。

ご主人:目の前が川なので視界が抜けているのと、周りに戸建てが多いので将来的にも高い建物が建たないかなと。あと、美大出身の私たちとしては、美術館が近い立地も決め手になりました。

ー その観点はY様ご夫婦ならではですね。即決だったんですか?

奥様:その場では決めきれなくて一度持ち帰りましたが、すぐに売れてしまいそうだったので、その日の夜に申し込みました。

ご主人:そうしたらすでに申し込みをされている方がいるとのことで。もちろん審査もあるのですが、他に何かできることがないかと考え、売主さんに手紙を書いて渡していただきました。

關:それで熱意が伝わったのもあって購入することができましたよね。Y様の心くばりがすばらしくて売買契約もとても和やかな雰囲気でした。

ご主人:売主の方がその後もすごく気にかけてくださって、「完成したら見に来たいです」とおっしゃって、竣工後に遊びに来てくださいました。

ー なかなか聞いたことがないお話ですね!これもY様ご夫妻のお人柄ゆえですね。

眺望とテレビ、両方楽しめるLDKをリクエスト

リビング

ー 間取りで大切にしたのはどんな部分ですか?

ご主人:リビングダイニングを広くしたいとお伝えしました。あと、二人とも映画も好きでよくテレビを見るので、キッチンやダイニングからもテレビを見やすくすることも。妻と「引っ越ししたら大きなテレビを買おう!」と話していたので、現場でテレビのサイズを検討するために、カットした新聞紙を壁に貼って、サイズ感や見え方を確認しました。(笑)。

ー テレビ自体は大きいですが、壁掛けだからすっきりしていますね。

ご主人:レコーダーは隣の棚に入っていて壁の中に隠蔽配線をしてもらったので、コードが見えないのもすっきりしている理由かもしれません。

齋藤:テレビだけ設置されていたときより、大型の植物や、Y様が描かれた絵もサイズが大きいので、全体のバランスがいいですよね。

ダイニング人物

ー 絵はY様の作品なんですね。

ご主人:鉛筆とクレヨンで描いたものですね。ダイニングの版画は妻が作りました。

奥様:有名な作品にはそれ程興味がなくて、それよりも手作りのものや作家さんの作品のほうが好きですね。壁にかけているペーパークラフトは友人の作家の作品なんですよ。他にも下地を入れてある壁が何箇所かあるので、ゆくゆくはそこにも絵を飾りたいなと思っています。

ご主人:新しい絵を描かないといけないね(笑)。

ー 家具もアートも全体の雰囲気に合っていてとても素敵です。統一感があって、お二人のセンスの良さがうかがえます。

思い描いていたイメージをより素晴らしく変換してくれた

ダイニングキッチン

ー 全体的にはどんなイメージの家にしたかったですか?

ご主人:私が自然豊かな場所で生まれ育ったのと、妻も植物が好きなので、家の中にもグリーンを置いたり、抜け感を感じられる空間にしたいなと思っていました。打ち合わせの中で丁寧にヒアリングしてくださったことを間取りに反映して、いくつものパターンを提案していただきました。

奥様:イメージに近い海外の素敵なお部屋の写真をSNSや雑誌から集めて、それを最初にたくさんお渡ししました。

ご主人:イメージはたくさんお伝えしましたね。

齋藤:設計をスタートする時に、当時住んでいらしたご自宅でヒアリングをさせて頂きましたが、コンパクトではありながら、すでに今の住まいの雰囲気は凝縮されていて素敵な暮らしをされていました。なので、そこからヒントを得たり、いただいた絵や写真から方向性を一緒に探っていった感じでした。

ー 一緒に探るというのはどういう作業になるのですか?

齋藤:海外の家のような繊細でシックな雰囲気や、新品の綺麗さとは違う、使い込んだ味わいやアートな雰囲気がお好みなのかなと解釈し、それに合うテイストや一つ一つの素材を私と關でご提案しました。それを元にご夫婦でバランスや組み合わせをさらに考えられて、こちらにフィードバック頂きました。ご提案いただくこともありました。

ご主人:リクエストしたうえで、できないことはきちんと理由を説明していただけるし、できることはさらに素晴らしいものに変換して提案してくださるという感じで、キャッチボールがしやすかったですね。

玄関
廊下

ー できなかったこともあるのですか?

奥様:たとえば、玄関には大理石モザイクを使いたいなと思っていましたが、変質のリスクやメンテナンス性などを考えると、玄関にはおすすめしないということで、別のタイルを提案してくださって。結果的にはそれでスッと落ち着いて「あんなにこだわっていたのになんだったんだろう?」って(笑)

齋藤:初めは沢山の内容が盛り込まれていましたが、予算調整と内容をブラッシュアップすることで、大切にしたい部分がより明確になりましたよね。

意見のキャッチボールをしながら細部を詰めていった

個室

ー 先ほどのLDKの広さ以外で大切にしたかったのはどの部分ですか?

ご主人:個室は最低限の広さで良いのですが、私達の寝室のほかに、両親が上京した時に寝室として使える部屋が必要でした。ただ、独立した個室ではなく、リビングの一角としてガラスのパーテーションの部屋を要望しました。両親からもすごく居心地がいいと言ってもらえたので、やってよかったですね。

ー 中に入ってみると、ガラスなのに意外と個室感がありますね。

ご主人:格子のピッチを細めているので視界はひらけていますが、なんとなくプライベート感がありますね。

奥様:スペース的には小さいですけど、ガラスだから圧迫感がないんですよね。ふだんは開けていますが、カーテンが収納できるようになっていて、両親が来た時はカーテンを閉めてより個室として使いやすくしてあります。

ご主人:専用のエアコンを設けるほどの広さではないので、パーティションの一部に窓を設けてリビング空調で対応しています。バルコニーの窓を開けると、風も良く抜けますし。

ー いろいろなアイデアが詰まっているのですね。

リビング

齋藤:ご両親がいらした時の布団の収納についても何度かやり取りしましたよね。「布団を収納するにはこれくらいのサイズの収納が必要です」というご説明をしたら、その後Y様から「コンディショニングマットレスのエアーなら巻いて縦に収納できそうです」とご連絡を頂いて。おかげで従来のサイズに捉われないクローゼットになりましたね。

ご主人:エアーは軽いので出し入れもしやすいですね。

齋藤:Y様はいろいろと掘り下げて調べられたり、ショールームへ行かれたりして「こういうのはどうですか?」と連絡を頂き、沢山やりとりをさせて頂きましたね。

奥様:面倒なお願いをしたこともあったかもしれません(笑)。

齋藤:いえいえ!私たちのほうが新しいヒントをいただくこともありました。

ご主人:住まいをつくって終わりではなくて、引き渡しや今日みたいな機会でまたお会いできたり、そういうコミュニケーションの距離感が私たちにはありがたいですね。スタッフの皆さんの人柄が柔らかくて、一緒につくっていった感覚があります。

下がった天井も大きな梁も部屋のアクセント

キッチン

ー キッチンのこだわりもお伺いしたいです。

ご主人:キッチンからも外の眺望が見えて、なおかつ室内を見渡せるようにしていただきました。キッチンに立つと、リビングダイニングもガラスのパーティションの中も、全部が見渡せるんです。

齋藤:そのために、キッチンは既存位置から大きく移動しました。それに伴って、排水の勾配を確保するために廊下の床が上がり、またレンジフードダクトも現しとしないために、天井を下げることになりました。ご主人は背が高いので、リビング入口の梁部分が低くなっても大丈夫かを十分に確認しましたね。

ご主人:天井高は下がりましたが、廊下とLDKに段差ができたことで空間にメリハリが生まれたので、すごく気に入っていますね。リビング入口の扉を開けた時に視界が広がって開放感がありますし、リビング真ん中の梁が方向性を強調していて広さをより感じるような気がします。

齋藤:キッチンはTOTOでしたね。

奥様:はじめは、造作もご提案いただきましたが、キッチンは作業スペースなので、機能性を重視してメーカーのキッチンを選びました。キッチン前面の腰壁の高さをどうするか悩みましたが、必要最低限のものが納まる高さで落ち着きましたね。

齋藤:キッチン腰壁のリビング側のデザインや納まりも、いろいろと検討しましたよね。

奥様:わりと大きな面積なので、ただの白い壁だとフラットで存在感もですぎるし。でも、やりすぎると後ろのタイルが目立たなくなってしまうので、バランスを考えて、目立ちすぎずアクセントのあるようなニュアンスを探りました。

キッチン

ご主人:キッチン背面のタイルは名古屋モザイク工業のショールームで二人で選びました。一つ一つ釉薬のむらがあって表情が違うところが気に入っています。シンプルな連続美というか、引き算の美しさみたいなのが、二人とも共通して好きですね。

ー 奥にパントリーがありますね。

奥様:そんなに大きなスペースではないのですが、冷蔵庫やレンジを隠せるようつくりました。

ご主人:どちらかというと隠す収納が好きなんです。見せるものは見せるけど、ほかは隠すというのは、家全体に通じることかもしれません。

ー 寝室にはどんなこだわりがありますか?

ご主人:先ほど予算調整の話が出ましたが、その時にどこを優先するかを相談しまして。ほとんどの時間をリビングで過ごすことを考えて、寝室や浴室は優先順位を下げてコンパクトにしました。

ー なるほど、LDKとは少し雰囲気が異なりますね。

ご主人:寝室は北側にあってリビングに比べると少し寒いので、壁の色をベージュにしたり、フローリングをベッドヘッドに合わせてチェリーにしたりと、価格調整をしつつも温かい雰囲気を大切にしました。

洗面室
洗面水栓

奥様:洗面室の一面ははシェルモザイクタイル貼りとしています。

ご主人:洗面室は、妻が希望していた壁付け水栓を中心に、それに合う世界観をもとにつくっていきました。

奥様:扉の取手は、気にっていた棚の取手を利用してつけていただきました。

ー シンプルなスペースにもさりげないアクセントやこだわりが素敵ですね。

下町らしい気さくなコミュニケーションも魅力

アップ

ー ここで暮らして生活に変化はありますか?

ご主人:このマンションは100世帯くらい入っているのですが、集会があったり古くから住んでいる方がいろいろと親切にしてくださったり、みんなで一緒に住んでいるような感覚があります。挨拶をするのは普通だと思いますが、それ以上の関係というか。

奥様:上のフロアの方が「今度遊びにいらっしゃいよ」なんて言ってくださったり、うれしいことですね。

ー 下町ならではの感覚かもしれませんね。お二人の暮らしのリズムはいかがですか?

ご主人:引っ越して半年くらいですが、土曜の朝は近所のおいしいパン屋さんでパンを買うのが習慣になりつつありますね。

奥様:昔ながらのパン屋さんなんですけど、飴をもらったり(笑)

ご主人:午前中はそのパンをダイニングに座って二人で食べながら、のんびりと窓の外を眺めて過ごすことも多いです。

ー 最高の休日ですね。お二人がとても素敵に暮らしていらっしゃる様子が拝見できて、私たちもうれしかったです、今日はありがとうございました。

まとめ

ご夫婦ともに美大出身と聞き、個性的でアーティスティックなお部屋なのかと思いきや、全体的にシックで落ち着いた雰囲気。いい意味で裏切られましたが、パーツや家具、ディスプレイを拝見しながらお話を伺っていると、一つ一つにストーリーがあり、大切に使っていらっしゃることが伝わってきて、お二人の審美眼やモノに対する愛情は、アートに精通し、ご自身もモノ作りをする人だからなのだなと納得しました。そんなお客様に数ある中からEcoDecoを選んでいただけたことをとてもうれしく思ったインタビューでした。

 

↓Y様邸@清澄白河の画像をまとめてご覧になりたい方はこちらから(Pinterestのサイトへ移動します。)

担当者コメント

saito270

Y様からの要望は「広々したリビング」「シンプルではなく、ニュアンスのあるすっきりした空間」でした。 躯体や設備配管を現しとしないこと、柱梁壁を「ふかして」凹凸をなくすこと、また床上げや天井を下げて既存時より天井高さが低くなったとしても、結果としては、広さを感じる空間となりました。
また、使用する素材や使い勝手、見え方などを十分に吟味すると共に、カウンターやタイル面、通路や洗面カウンター等余裕のあるサイズとすることで、生活空間に余白と余裕が生まれることを意図しました。随所に飾られた、Y様ご夫婦の作品やアート、植物とも馴染み、Y様らしい奥行き感のある住まいとなったのではないでしょうか。

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