既存利用で賢くリノベーション

既存利用も上手にMIX 愛せるモノに囲まれて

二人暮らし/40〜60㎡

都心にもアクセスのいいエリアにお住まいのK様ご夫婦。もともとは賃貸だったマンションを一棟丸ごと数年前にリノベーションして分譲で販売されていたマンションを購入され、さらに自分たち好みにリノベーションをされました。上手に既存利用しながらどのように好みの家づくりをしていらっしゃるのかを伺いました。

Profile
  • K様邸@氷川台
  • 30代ご夫婦/59.40㎡/2017年12月竣工
  • リノベーション費約610万円(設計費含む)
物件探しからはじまるリノベーション

EcoDecoさんにご連絡する前にリノベ会社に2社相談しました。悪くはなかったんですが、実際に話を聞くと、私たちの求める方向性とは少し違うコンセプトを掲げていたり、メール連絡が円滑にいかなかったりであきらめて、最後にEcoDecoさんを訪ねました。そこで担当の方に出会って、その人柄で決めた部分は大きいです。スタッフの皆さんがほんわかされていて、私たちの相談に親身になって対応してくださったのでお願いすることにしました。

— Before After 平面図

“Ktei_zumen

住むほどに味わいが増すような家に住みたかった

インタビュー

ー リノベーションを考えたきっかけを教えてください。

奥様:新築の戸建を見学したこともありましたが、ずっとぴかぴかの綺麗な状態をキープしなきゃいけない気がしてしっくりこなくて。それよりも床に自然とついた傷や汚れが味わいになるような、経年変化を楽しめる家のほうがいいなと思って、リノベーション済みの物件を探すようになりました。

ご主人:新築の画一化されたトーンがあまり好みではないと妻はよく言っていましたね。

奥様:ただ、リノベーション済みの物件を見ていても、よく見ると壁の色や床材が好みのものではなかったりして、気になってしまいました。それなら自分たちの好きなように作ろうという結論に至って、リノベーションができる中古マンションを探すようになりました。

ワークスペース

ー EcoDecoを訪ねてくださったのはその頃ですか?

ご主人:WEBサイトで施工事例を見て、気に入ったリノベーション会社さんに連絡を取りました。EcoDecoさんはその3社目です。

奥様:前の2社も悪くはなかったんですが、実際に話を聞くと、私たちの求める方向性とは少し違うコンセプトを掲げていたり、メール連絡が円滑にいかなかったりであきらめて、最後にEcoDecoさんを訪ねました。そこで担当の小林さんに出会って、その人柄で決めた部分は大きいです。

ご主人:小林さんだけじゃなくてスタッフの皆さんがほんわかされていて、私たちの相談に親身になって対応してくださったのでお願いすることにしました。

ー 物件探しから小林が担当させていただいたんですよね。

ご主人:そうですね。通勤にも便利なので、練馬区周辺をリクエストして探していただきました。

奥様:私の姉が練馬区に住んでいるので安心感があるのと、中野に住んでいたこともあって中野区、練馬区あたりの雰囲気には馴染みがありました。

新築にはないゆったりとした雰囲気と総合点の高さに即決!

中庭

ー 他にはどんな条件がありましたか?

ご主人:私は住宅ローンの控除が受けられる物件であることくらいかな。

奥様:当初は、将来的に賃貸に出すことも考えていたので、駅から徒歩10分以内の物件というのも条件にしていました。ただ、実際に住んでみると、人に貸したくなくなりました(笑)。

ー この物件はどういう部分が気に入ったんでしょうか?

奥様:図面を見た時点ではあまり期待していなくて「一応見てみようか」くらいの気持ちでした。でも、実際に内見してみると中庭の雰囲気が良くて、建物がきれいに使われている感じも伝わってきて好印象でした。ずば抜けて「ココがお気に入り!」というより、特にマイナス点がなく総合的によかったですね。内見の後、階段を降りてマンションの裏口で「申し込みします」と言ったのを覚えています。

ワークスペース

ー 即決ですね!

奥様:それでも二番手でした。私たちが内見した日に、先に見ていた方も申し込んでいたそうで。ただ、その方たちが相当値切ったみたいで私たちに回ってきたんです。タイミングや運もすごく大事だなと思いました。

ご主人:妻は1970年代に建てられたような都心のヴィンテージマンションも好きなんですが、ローン控除が受けられないこともあるので難しいなと。ここはヴィンテージマンションの雰囲気にも近い、今ではなかなか見かけない低層のゆったりとした作りにも惹かれました。

小林:最近の新築マンションは南北に向けて細長い間取りで「南向き」と記載できるお部屋をできるだけ多く作ることがセオリーで、画一的な間取りになりがちですが、この物件は中庭があっておもしろい作りですよね。

ご主人:妻が落ち着いたトーンが好きなのもあって、私たちは南向きについては重要視していませんでした。

奥様:北向きの部屋がないので家全体としては明るいほうだと思います。あと、ラッキーだったのは、住宅ローンと当時の家賃の二重払い期間を短縮できたこと(※)です。売主さんが引越しをされるタイミングで引渡しだったのですが、売買契約から売主さんの新居の完成までに数ヶ月あったので、その間に設計を進めることができました。

※住宅ローンの支払いは物件の引き渡し後すぐにスタートするため、通常の「売買契約→物件引渡し&設計→工事」という流れの場合、設計期間中は住宅ローンの支払いと家賃を二重で支払う期間が数ヶ月発生します。K様の場合、「売買契約→設計→物件引渡し→工事」という流れだったため、二重払いの期間を軽減できました。

目指したのはクラシックホテルのモダンな雰囲気

リビングダイニング

ー 設計に際してはどんなイメージがありましたか?

奥様:大きくは、開放的なリビングをリクエストしました。具体的にはヘリンボーンの床や壁塗装、部分的にはコンクリートの躯体現しにしたいなどの要望を出しました。

小林:新築のぴかぴかした雰囲気は嫌だとおっしゃっていたのをはっきりと覚えています(笑)。

奥様:せっかく好きなように作れるんだからと、そこは熱がこもっていたかもしれませんね(笑)。

ー お好きなテイストや参考にしているインテリアはありますか?

奥様:クラシックでモダンな雰囲気のあるホテルライクなテイストや、1970〜1980年代のアメリカ映画に出てくるようなインテリアが好きです。特に『クレイマー、クレイマー』のインテリアはかわいいなと思います。

ご主人:軽井沢の万平ホテルのようなクラシックホテルの雰囲気が好きなので、ホテルライクといってもコンテンポラリー寄りではなく、建物自体に歴史があってモダンなインテリアというか。リビングはそういったイメージを意識しました。

奥様:そうですね、クラシックホテルは憧れです。

ー ヘリンボーンの床もそうした雰囲気づくりに一役買っていますね。

ご主人:ただ、クラシックすぎるとアンティークの方向に行ってしまうのでバランスには気を配りました。といっても、最初から「こうしたい!」というはっきりとしたコンセプトがあったわけではなくて、手探りで進めていった感があります。

床

小林:最初から目指すゴールがあったというよりも、お互いにキャッチボールをしながらでしたよね。「家具はこういうものを考えています」というお話を伺えば、「こういうフローリングが合いそうかな」とご提案したり。こちらからビジュアルのイメージやたたき案をお見せして、そこにお二人からご意見をいただきながら詰めていきました。

奥様:私たちの要望をきちんと聞いてくださったうえで提案してくださったので、ストレスなく進められました。レスポンスも早かったですし、私たちじゃ思いつかないような提案がたくさんあったので、小林さんにお任せした部分も多いです。

ご主人:たとえばキッチンのモルタルと床の間に真鍮を入れたのは小林さんの提案です。

奥様:テレビを壁掛けにすることも私たちでは思いつかなかったですね。洗面室の引き戸は樹脂の面材ですが、端に無垢材をつけることを提案してくださったおかげで、高級感や廊下との統一感も出たかなと思います。

「私たち、実はどんな家具が好きなんだろう?」

スタンダードトレード

奥様:家具はほとんどを小林さんに紹介してもらったお店で買いました。

ご主人:家具はほぼ買い換えましたね。ダイニングテーブルとチェア、スツールは「スタンダードトレード」のものです。

ー リビングのフロアスタンドもお部屋の世界観に合っていますね。

奥様:私が一人暮らしをしていた時に買った安いライトなので、もうガタガタしています(笑)。

ご主人:10年くらい前のものですが、妻の中には変わらない好みがあるのかなと思いますね。今はソファの横に置くコーヒーテーブルを探しています。昨日、目当てのものを見に行ったんですが、店頭に在庫がなくてすぐに帰っちゃいました。

奥様:焦って探さなくてもいいかなと。まだ家のいろいろな部分が発展途上というか、やりたいことはたくさんあるのですが、少しずつやっていこうと思っています。

ご主人:この家を買うまでは家具屋を巡ることもあんまりなかったですが、いざリノベーションをするとなった時に「じゃあ自分たちはどんな家具が好きなんだろう?」と興味を持つようになりましたね。リノベーションをして家が完成したというわけではなくて、リノベーションがひとつのきっかけになって家づくりがスタートしたように思います。

小林:リノベーションの際に端々まで作りこむこともできますが、K様のお住いは最低限作らなければならないところだけ納得できる質感の素材で作り、住みながら家具や小物で編集して行くという考え方がすごく素敵だと社内でも話していました。

活かせる部分は上手に活かして既存利用

キッチン

ー ここはリノベーション済みの物件だったんですよね?

奥様:はい、数年前にマンション全体をリフォームというのか、水回りなどの設備をすべて改装しています。だから、すべて取り壊してフルリノベーションをするのはもったいなくて。床や壁は好みの素材に変えましたが、まだまだきれいな部分や良いものはそのまま使いたいなと思っていました。

ご主人:リノベーションせずにこのまま住んでもいいんじゃないかなと思うくらいきれいな状態でした。元は2LDKの間取りでしたが、壁やドアを取り払って1LDKにしたくらいで、基本的な間取りは変えていません。

洗面室
トイレ

ー 既存利用されたのはどのあたりでしょうか?

奥様:水回りは洗面台を変えたくらいです。キッチンもシンクや土台はそのままで面材だけ替えました。それだけで雰囲気がすごく変わりましたね。

ご主人:最初はキッチンはL字型にしようという話もしていたんです。

奥様:でも予算が上がってしまうのと、まだまだきれいで使えそうだったのでそのまま使うことにして、冷蔵庫の横にレンジなどを置けるように棚だけ作ってもらいました。棚のスペースを確保するために、廊下を狭めようと数センチのせめぎ合いがありましたよね(笑)。

小林:いや、ミリ単位ですね(笑)。

奥様:結果的に、今レンジを置いている左側に3cmくらいの空洞の壁があったおかげで、壁を取り外せて余裕ができました。あとはリビングの収納も元々あったものです。ルーバーの扉をつけて雰囲気を変えました。

住みながらスタンダードを更新していく

寝室

ー 寝室のクローゼットはオープンなんですね。

ご主人:見せる収納というわけではないんですが、二人とも片付けがあまり得意じゃないので、どこに何があるのかわかりやすい、扉のない収納が多いです

ー 得意じゃないからこそ隠したいという方もいらっしゃいます。

奥様:私たちの場合、隠し出したら何がどこにあるのか把握できなくなっちゃいますね(笑)。都築響一さんの『TOKYO STYLE』という本に「美は乱調にあり」という名台詞があって「なるほど!」と。

ご主人:そのコンセプトに相当影響を受けているよね。

奥様:インテリアの参考にしているというより、考え方に影響を受けているかもしれません。ごちゃごちゃしていて汚さもあるけど、みんなおしゃれで狭いながらも自分の好きなものを詰め込んで暮らしている感じがかっこいいなと思います。

ー (本を見て)自由に暮らしている感じが素敵ですね。とはいえ、K様のお部屋に「乱調」はないですよ(笑)。ご自宅ではどこで過ごすことが多いですか?

ご主人:リビングで映画や海外ドラマを見てごろごろ過ごすことが多いです。最近は海外ドラマを見ていても「あのランプ、いいな」なんて思ったり。先ほどのスタンドライトが一番近いと思うんですが、間接照明をどう置くのがいいかなとよく考えています。

ダイニングキッチン

奥様:海外の間接照明の使い方はすごく参考になりますね。

ご主人:たとえば、帰宅して玄関のスタンドライトをポンとつけると部屋が少し明るくなって。廊下を進んでスイッチをつけるたびに部屋に陰影が生まれていく、みたいな雰囲気にしたいと思っています。

奥様:照明もそうですが、自分たちの好きな雰囲気を少しずつ作っていけるのはリノベーションをしてよかったことのひとつですね。私は廊下の窓から見える中庭の景色がお気に入りです。寝室の窓からも同じ光景が見えるんですが、夏は緑が生い茂って、季節ごとの景色が美しいんです。去年の冬、雪が積もった時は夜のライトアップと相まってすごく幻想的でした。

ー 中庭があるのは豊かな気分になれますね。先ほどコーヒーテーブルの話が出ましたが、今後はどんな家にしていきたいですか?

リビング

奥様:猫がいるので様子を見ながらですが、植物を置きたいなと思っています。

ご主人:リビングの三角形の窓のところとかに置きたいね。ギターをかけたくて壁にレールを取り付けてもらったんですが、そこに写真やポスターをかけたいなとも思っています。

ー そういえば、猫穴やキャットタワーなどお家を猫仕様にはされていないんですね。

奥様:ゆくゆくは猫を飼いたかったのでペット可の物件を探しましたが、住み始めた頃はまだ飼っていなかったんです。

ご主人:最初から飼っていたらまた違っていたかもしれません。

ー いろいろなことを住みながら更新されているんですね。これからもどんどん表情が変わっていきそうで楽しみです。今日はありがとうございました。

まとめ

珈琲

休日はお二人で家具屋さんを巡ったり、猫を飼い始めたりと新居での暮らしを楽しんでいらっしゃる様子が伝わってきました。リノベをきっかけに日々の暮らしをより楽しんでいらっしゃる様子が伝わってきました。ちなみに人見知りな愛猫2匹は私たちが玄関のチャイムを鳴らした瞬間に隠れてしまい撮影は断念。最後に1匹がカーテンの後ろから顔を見せてくれましたが、もう1匹には会えずじまい。それだけが心残りではありましたが、素敵な暮らしぶりにうれしくなった訪問でした。


↓K様邸@氷川台の画像をまとめてご覧になりたい方はこちらから(Pinterestのサイトへ移動します。)

設計者コメント

kobayasshi270

元々かなりきれいな状態の中古物件を購入されたK様。リノベには色々なものをつくれる足し算の楽しさもありますが、K様は元々の家に普通にあった要素を「増やさず、煮詰めてしっくり感を上げていく」というスタンスで住まいづくりをされたように思います。

リノベ済み物件やきれいな中古物件でも、ちょっと目についてしまうポイントって確かにあるんです。例えばフローリングや扉の素材感。量産品の樹脂っぽい感じが、どうもしっくりこないという方はリノベをご検討されている方には多いのではないでしょうか。

この十分なはずだけど「ちょっと物足りない感じ」をK様はリノベを使って上手に調整されました。住み続けていくことで深まる愛着をちゃんと受け止めてくれる住まいができたようで、嬉しく思っています。

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