暮らし始めるとほとんど無意識に開閉しているドア。家をつくるにあたってどんなドアがいいのか?を考える前に、まずドアにはどんな種類があるのか整理するところから始めてみませんか。
リノベーションをする際は、細かく区切られていた間取りからオープンで広い空間を確保することが多いです。部屋数が減る分、ドアの数も減りますが、それでも必ず最低限は必要なドア。ワンルームの間取りでもトイレと浴室に2枚、多いお宅だと10枚を超えることも。
「リビングに入るドアは家の顔になるようなデザインにしたい」というようなドアそのもののデザインだけでなく、「脱衣室は湿気が籠らないように基本的には開け放し、来客時だけ見えないようにしたい」「玄関廊下の面積が小さく窓もないので広く明るく感じられるようにしたい」などの要望も、ドア選びの際に大きく関わってきます。
これからご紹介する開き方・手掛け・ドア面材の意匠・補助機能の4つのポイントに沿いながらドアを検討してみましょう。
1.開き方
A.引戸-横に滑らせて開けるドア
ドアの上下にレールや溝がつきます。ドアを引く方向(左右どちらか)にドアの幅分のスペースが必要。
開き方 | 手掛け | 面材の意匠 | 補助機能 |
引戸 | 彫込み引手 | 塗りつぶし塗装 | ソフトクローズ |
スケルトン状態で購入した物件で、低予算でも思い通りのリノベーション
床のホコリが下のレールにたまって気になりそうな場合は、ドアを上のレールだけで支える吊りタイプにして下のレールをなくすことも可能です。上の写真のように壁の手前に引戸があるものをアウトセット引き戸といいます。また、壁と引戸の位置関係にも下記のようなバリエーションがあります。
インセット(壁の奥に引戸≒アウトセットの扉を裏から見たもの)

開き方 | 手掛け | 面材の意匠 | 補助機能 |
引戸 | 彫込み引手 | オーク突板 | なし |
引込戸(壁を厚くしてその中に引戸を隠してしまう)
開き方 | 手掛け | 面材の意匠 | 補助機能 |
引込戸 | 彫込み引手 | アイアン塗料で塗りつぶし塗装+ガラス | ソフトクローズ |
引戸を全開にしたときに隠してしまいたたいという場合はこちらの引込戸がおすすめです。完全に引き込んだ際にも引き出せるように扉の厚み部分に引き手を仕込むこともお忘れなく。
動く壁としての引戸
開き方 | 手掛け | 面材の意匠 | 補助機能 |
引戸 | 彫込み引手 | 塗りつぶし塗装 | なし |
まるで壁のような大きな引き戸。来客の際に奥にある寝室を隠す役割をします。
連続した引戸でさらなる開放感を
開き方 | 手掛け | 面材の意匠 | 補助機能 |
引戸 | なし | 木枠+ガラス | なし |
引き戸のメリットは何と言っても仕切れるけど、開け放ってもおけること。部屋の一つの壁分、丸々と連続した引き戸にしてしまえば、開放感もありながら、必要な時には閉じることができます。
こんな場合は引戸がおすすめ
・開けっ放しにしておくことが多い部屋
・開戸だとドア同士やドアの向こう側にいるひとにぶつかることが多そうな廊下に面した部屋
・普段は広い空間として一体として使い、必要なときだけ2部屋に区切る場合
B.開戸
開き方 | 手掛け | 面材の意匠 | 補助機能 |
開戸 | ドアノブ | 框戸を塗りつぶし塗装 | なし |
ドアノブやレバーハンドルがついていて、前に押すか後ろに引いて開けるドアを開き戸といいます。いわゆるドアといえばこちらを思い浮かべる型の方が多いのでは?ドアを開ける方向(前後どちらか)にドアの幅分のスペースが必要な扉で、開き戸には引戸よりも壁とドアの隙間が少なく、音や光が漏れにくいという性質があります。枠なしだとスッキリしたモダンな印象に、枠ありだとややクラシックな印象のドアになります。
こんな場合は開戸がおすすめ
・トイレや寝室など音や光の漏れをできるだけ抑えたい部屋
・ドアノブやレバーハンドルを付けたい(→詳しくは下記2-Bにて)
手掛け
建具を選ぶ楽しみの一つにドアノブや引手などの金物のバリエーションがあります。
A.引戸の場合
基本的には彫り込んで金物を埋め込むタイプが多いのですが、シンプルに扉の面材自体を彫り込んでしまうタイプも。
バリエーションの数も多いので、PinterestのEcoDecoのボード「ドアノブ・レバーハンドル」にまとめてみました。詳しくはそちらをご覧ください。
B.開戸の場合
レバーハンドルは、手を掛けるだけでなく腕ごと乗せて開けることもできるので、荷物やお子さんを抱えて手が塞がっている場合や力の弱い方でも開けやすいと…メリットも多いのですが実はEcoDecoのお客様の採用事例はそれほど多くありません。
それはおそらく意匠的な理由で、どうしても機能的な印象が先行してしまうレバーハンドルに対して、要素としてシンプルなドアノブのちょうど良い存在感を好まれる方がEcoDecoのお客様には多いからだと思います。
ノブのデザインや素材によってはクラシックな雰囲気が出せる点もオススメのポイントです。
詳しくはPinterestのEcoDecoのボード「ドアノブ・レバーハンドル」をご覧ください。
3.面のデザイン
フラットな面の戸
面を壁と同色で塗装すれば、ドアの存在感を少なくすることができます。
上の写真の向かって左の扉は引戸、右側の扉は開戸になっています。引き戸の場合ドアがスライドできるだけの段差が出てきますが、開戸の場合、ドア枠をなくして壁と扉の面を揃えることで、より壁と一体的に見せることも可能です。
開き方 | 手掛け | 面材の意匠 | 補助機能 |
引戸 | 引手 | ラーチ合板クリア塗装 | ソフトクローズ |
あるいは面の素材に存在感のあるものを選べば、建具自体をインテリアのアクセントにすることもできます。
框戸
框と呼ばれる材料で枠をつくり、その中に板材を挟み込むような構造のドアです。ロの字に枠を設けるか、8の字、または田の字にするか、枠の入れ方やバランスによってドアの雰囲気が変わってきます。枠をなぞるようにモールディングと呼ばれる装飾の縁を付けることで重厚感やクラシックな雰囲気を出すこともできます。
開き方 | 手掛け | 面材の意匠 | 補助機能 |
引戸 | 引手 | 框戸を塗りつぶし塗装 | ソフトクローズ |
ガラス戸
視線や光を通したい場合、ドアのこっち側と向こう側を繋げて開放感を出したい場合にはドアの一部や全面にガラスを入れましょう。ガラスは、透明だけでなく、乳白色などの色付きやチェック、ストライプ、水が揺らめいている様なアンティークガラスなどで光を入れつつ視線の通り具合を調整することも可能です。
開き方 | 手掛け | 面材の意匠 | 補助機能 |
引戸 | 引手 | 框戸+ガラス | ソフトクローズ |
4.補助機能
引戸でも開戸でも、ソフトクローザーやダンパーをつけることでドアが動くスピードを緩めてゆっくりと閉まります。風でドアが煽られてしまったときや、ついイライラしてドアを勢い良く閉めたときでも(笑)、大きな音が出たりドアが壊れたりすることを防ぐことができます。ドアの形状や寸法によって付けられない場合もあるので担当の設計士と相談してみてください。
まとめ
細かく見ていくとドアの選択肢はもっとたくさんありますが、
1.開き方
2.手掛け
3.面のデザイン
4.補助機能
の4つのポイントで、まずはドアのことを考えてみてください。